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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
最終話 痛撃の最終チェック・納品!
205/213

 木戸がエリカ姫に顔を向けると、姫はさっと顔を背ける。

 新庄が同情した表情で話し掛けた。


「諦めろよ。あのエリカ姫は、今はもう……」

「判っている」


 木戸は未練たっぷりに頷き、言葉を続ける。

「けど、新しいキャラクターを作ったらどうだ? 例えばエリカ姫の双子の姉妹がいて、そのキャラクターが、おれに惚れるなんてストーリーを作れば……」


 市川は木戸の身勝手さに、ほとほと呆れていた。




 ──あんたら、いい加減にしなはれ! ほんまにもう……。やってられんわ!




 広間に〝声〟が響いていた。

 ぎくりと一同は顔を挙げた。〝声〟がどこから聞こえてくるのか、きょろきょろと視線を彷徨わせる。

〝声〟は苛立っていた。




 ──やめや、やめ! これで【導師】は、あんたらの活躍で退治され、目出度し目出度しのエンディン

グや! 木戸はん。あんたの勝手には断固させへんで……。絵コンテは描き終わったんや。これから、あんたらは、『蒸汽帝国』ちゅうアニメのシリーズを、きっちりと最後までお仕事してもらうからな!




 市川は叫んだ。

「それは、どういう意味だ? おれたち、帰れるのか?」




 ──そうや、あんたら、これから、とっとと【タップ】に戻ってもらう。時間も、あんたらの出発した時間や。つまり、現実では何事も起きなかった、ちゅうこっちゃ。




〝声〟は不機嫌そうに答えていた。

 どこからか、風が吹き始めていた。現実世界に一同を連れ帰る、風のようだった。

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