スクリーン
操縦席に滑り込むように着席すると、即座に身体の周りにハーネスが纏いつき、固定する。目の前のコンソールが息づき、外部カメラが捉えた映像が映し出される。
ロボットは仰向けになっているので、見えているのは青空だけだ。主コンソールの周りには、他のメンバーの顔を映している小さなスクリーンが並んでいる。
皆、不安そうな顔付きだ。
その中の一つ、洋子を映しているスクリーンがある。スクリーンの洋子と、市川の目が合う。洋子は微かに顔を赤らめ、じっと市川の顔を見詰めている。
三村が大声を上げた。
「蒸汽ロボ、起動!」
三村は当然のごとく、ロボットの司令席に着いている。三村の声は、しっかりと命令に慣れた者の口調だ。まさに司令官!
市川の両手が無意識に踊るように動き、コンソールのボタンやら、レバーを操作する。
正直な話、市川は、まるっきりロボットの操縦法など知っちゃいない。だが、『蒸汽帝国』の世界に連れ込まれてから、知らないはずの剣捌きやら、格闘の技を体得していたから、ロボットの操縦もこなせるものと確信していた。そうでないと、ストーリーが進まないだろう?
思ったとおり、ロボットは市川の操縦で目覚めていく。
ごごごごご……と、低い唸りが操縦席を満たし、ゆっくりとロボットの上半身が起き上がる気配がした。
目の前のスクリーンに映っていた青空が、地面に平行になった。
市川の三半視管が、自分は完全に地面から垂直な姿勢を取っていると知らせている。
市川はスクリーンの映像を、食い入るように見入った。意外と近くに【導師】が迫っていた!