表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#2 戦慄の文芸担当
20/213

 木戸の背後のガラス戸に、一瞬、屋上の祠がシルエットで浮かび上がる。



 最後に木戸は天井を見上げ、全身全霊を込めて叫んでいた。


「お願いだ! この苦境を誰か、救ってくれ! 神でも悪魔でも構わねえっ! 頼む、助けてくれ……!」



 その時、木戸の背後の窓ガラスが一際強く、真っ白に輝いた。まるで真昼のような明るさで、眩しさに市川は目を閉じようとした。


 が、瞼はぴくりとも動かない。


 気がつくと、市川の全身は、完全に凍り付いていた。指一本、動かせない。


 瞬きもしない強烈な白い光が、部屋全体を照らし出している。眼底が焼き尽くされるような光量に関わらず、市川には、はっきりと周囲の総ての物が見てとれた。まるで一枚の写真を見ているようだった。



 視界の隅に、他の四人が同じように凍り付いているのを認める。市川の視線は真っ直ぐ木戸に向けられているので、四人の表情までは判らない。



 何だ、何が起きたんだ?




 不思議と恐怖は感じなかった。異常な状況にあるのに、市川は冷静に事態を見守っている自分を奇妙に思っていた。何か、自分が二つに別れ、もう一人の自分を観察しているような気分であった。




 と、〝声〟が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ