部品
「凄え……。特撮映画みたいだ……」
呆れて市川が呟くと、洋子は猛然と噛みつくように喚いた。
「馬鹿っ! あんた、いつまでオタクみたいな言い方しないでよっ! あたしたちが危ないの、判ってるの?」
「判ってるよう……」
市川は、ちょっぴり、反省した。
飛行船が近づき、船腹の扉がぱっくりと開くと、何かを放出する。
市川は喜びの声を上げた。
「待ってました! タイミング、どんピシャリ!」
空中に投下されたのは、幾つかの機械部品である。部品にはパラシュートが付いていて、空中で傘が開くと、ゆらゆらとした動きで、地面に近づいてくる。
どすん、と鈍い音を立て、部品は無事に着地する。市川たちは慌てて走り寄り、部品を確かめる。
大丈夫、どこも壊れていない!
ぴぴぴぴ……と、部品のパイロット・ランプが点灯し、部品は自らの力で、地面を這いずるように動き出し、集まり始めた。
意思あるかのように、部品はお互いの接続部分を近づけあい、くっつきあう。ばらばらの部品同士、固まり合い、次第にある形を作り出す。
市川は頼もしい思いで、完成に向かう、機械部品を見上げていた。
洋子、山田、新庄の三人は、呆気に取られ、馬鹿のように口をぽかっと開いたまま、立ち尽くしている。
「まさか、本当にこんなものが……」
新庄は小声で呟いている。山田は肩を竦め、「処置なし!」とでも言うように、両手を上げて首を振っている。
洋子は唇を皮肉そうに歪め、両手を腰に当てて見守っていた。
市川は口をにーっ、と真横に引き結び、満足した思いを胸に全員に振り返った。
「さあ! エンディングまで、まっしぐらだ! やったろうじゃねえか!」