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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#12 開戦! カッティング
184/213

「今まで散々、あんたらには色々と世話になっただ……本当っに、お前ら、おらたちを絞り上げてくれただよ!」


 ずい、と兵士たちは足並みを揃え、魔法使いたちとの距離を詰めた。魔法使いたちの顔に、一瞬の怯みが見えた。

 しかし、すぐ、支配者としての誇りが頭をもたげる。


「何を貴様ら……平民のくせに……」

「偉そうな口、利くんじゃねえっ!」


 兵士たちの間に殺気が走った。

「やっちまえ! こいつら、今まで、おらたちを馬鹿にしてきたんだ! 魔法が使えねえ奴らなんか、怖くねえどっ!」

 おうっ! と全員が気を揃え、どどっと足音を立て、魔法使いたちを取り囲んだ。



「わわわっ!」



 魔法使いたちは、おろおろと悲鳴を上げる。もはや、兵士たちを威伏させていた権威の衣は、すっかり剥げ落ちている。


「たっ、助けてくれーっ!」

 腰が砕けた、見っともない格好で、ばたばたと逃げ出す。兵士たちは、顔中に殺意の喜びを浮かべ、一斉に掴みかかった。


 その時、ステージで成り行きを見守っていたトミーが動き出した。

 ぱん、ぱん、ぱんと両手を頭の上でゆっくりと叩いて、一同の注目を集める。


「皆さ──んっ! 暴力はいけません。お平らに、お平らに!」


 兵士たちは何事かと顔を上げる。


「ええ、皆さん。お疲れではありませんか? お怒りはごもっとも思いますが、暴力はいけませんよ。それより、お疲れでしょう。こんなのは、いかがでげしょう?」

 さっとトミーが合図すると、バニーガールのアシスタントが、舞台の下手から、何やら幾つもの樽を台車に載せて運んできた。

 兵士たちの表情が一変する。



「酒だ……」



 兵士たちの間から「おう!」と歓声が上がる。

 トミーは頷く。

「はい、皆さんのために、宴会の準備を整えてまいりました。戦いは一時中断して、陽気にやりましょうや!」

 再度トミーが合図すると、演台で待ち構えていたバンドが、楽器を手に、演奏を開始した。

 演奏しているのは、いかにも田舎風の音楽である。兵士たちの顔に、開けっ広げな笑みが浮かぶ。


 トミーは、ドーデン軍にも声を掛ける。

「そちらの皆さんも一緒にどうでげす?」


 ドーデン軍は、おずおずと立ち上がり、お互いの顔を盗み見合った。

 兵士の視線は、部隊を指揮する、部隊長に向かっている。ドーデン軍の部隊長や、その上の指揮官たちは、上空に停泊している空中空母を見上げていた。

 通信士官が顔を上げ、指揮官に叫んだ。


「空母御座乗のアラン王子殿下より入電! もはや、戦闘の理由はなくなった! ゆえに、これより一同に休暇を命ず……です!」


 ドーデン軍の緊張が、一瞬にして解けた。指揮官たちは軽く頷き、部隊長に顎をしゃくって参加するよう指示する。兵士たちの間から、嬉しげな嬌声が上がる。

 ドーデン軍と、バートル軍の兵士たちは、ステージに駆け上がり、並べられた酒樽を仲良く、えっちらおっちらと地面に運ぶ。栓が抜かれ、各々手にしたコップに、なみなみと液体が注がれた。

 誰ともなく乾杯の音頭が上がり、戦場はあっという間に宴会場に様変わりする。

 魔法使いたちは手早くバートル軍の兵士たちによって縛り上げられ、宴会の薄暗がりに放って置かれている。


 誰かが故郷の歌を歌い出し、手拍子が加わり、気の利いた兵士が空き地に薪を運び上げ、焚き火が燃え上がった。


 まさに、呉越同舟である。

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