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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#12 開戦! カッティング
181/213

クイズ

「おらに、呉れるっちゅうのけ?」


 バドは田舎丸出しの喋り方で、トミーに食いつくように話しかける。もはや、当初のおずおずとした態度はかなぐり捨てて、爛々と目を輝かせ、目の前の品々に見入っていた。


 トミーは、大きく頷いて答える。

「もちろんですとも! バドさん、奥様はいらっしゃるのですか?」


 バドは、無言で頷く。視線は数々の商品に張り付いたまま、動かない。もはや、頭の中は、目の前の品々で一杯のようだ。


「それは、よござんした! 奥様に、これらの品々をプレゼントしたら、さぞお喜びなさるでしょうね?」


 じろり、とバドはトミーを睨みつけた。

「おれに呉れるっちゅう話だが……」

「そこです! ただし、タダという訳にはいきませんよ! 何、簡単な質問に答えていただくだけで結構!」

「質問……?」


 バドは渋面を作った。さっと顔色が優れなくなる。

 トミーは朗らかに話し掛けた。


「難しい質問じゃありません。あなたなら、簡単に答えられる質問です」


 バドは、たじたじとなった。トミーの笑顔がさらに邪悪さを増した。

「第一問! 犬が西向けば、尾は?」

「東!」

「素晴らしい! 第二問! 蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ! ぴょこは、いくつ?」


 バドは口の中で数を数えて答えた。

「七つ……?」

「ご名答! さて、最後の質問です! 今日は、何曜日だったでしょう?」

「水曜日……かな?」


 バドは自信が全然なさそうに答える。

 トミーは、ぴょんと飛び上がると、空中で踵を三度、打ち合わせ、床に着地してくるりと身を回転させた。


「やりました! バドさん、ああたは、全問正解です! ここにある総ての賞品は、今から、ああたのもので御座います!」


 トミーは両腕を伸ばし、バドの手をがっちりと握りしめて、何度も上下に動かした。バドはぽーっ、と上気し、目も虚ろになっている。


「ほ、本当けえ? 本当に、おらのものになっただかね?」

 バドの表情が、一瞬にして貪欲なものになった。それだけではない。ステージを見上げている、他の兵士たちの顔にも、物欲しそうな感情が表れている。


 トミーは兵士たちに向き直り、大声で叫んだ。


「皆さーん! バドさんのように、帝国の蒸汽家庭用品を欲しいと仰る方は、おられませんか? 簡単な質問に答えて頂ければ、これらの品々は、あなた方の物ですぞ!」

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