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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#11 混乱の撮影出し!
164/213

理由

 二人が考え込んでいると、ドアを開けて洋子と新庄が入室してきた。洋子の手には、何やら銀食器らしきものを盆に載せて持っている。

 洋子は室内に入る瞬間、ちら、と市川の方を見た。が、すぐ視線がそれ、わざとらしく無視を決め込んでいる。


 あれから洋子と市川の間には、微妙な緊張状態が続いている。考えてみれば、エリカと市川は近々と顔を寄せて話しこんでいて、あらぬ誤解をされる姿勢ではあった。しかし、こうまで意地になって無視されると、市川も反発を感じざるを得ない。


 洋子は努めて明るい口調で、口を開いた。

「これ、サモワールっていうんだって! 徹夜するんだったら、眠気覚ましが必要でしょ。これで、紅茶が沸かせるらしいわよ!」


 山田は吃驚した表情を浮かべた。

「そりゃ、元々ロシアの食器だぞ! そんな設定、おれ、したかなあ……」


 市川は新庄を見て、恨めしげな声になる。

「新庄さん。ここは【タップ】じゃないんだぜ。スケジュールは、どんなに延ばしても、誰も何も言わないんだ! それなのに、徹夜の覚悟させるつもりなのか?」


 新庄は首を振り、笑い掛ける。が、目には一欠片も笑いはなかった。

「スケジュールを立てないと、お前ら、頑張って仕事する気にはならないだろ! いいか、明日までだ! 明日まで、何が何でも、設定を終わらせろ! いいな?」


 市川は悟っていた。今まで、何で新庄が、この冒険に加わっていたのだろうと疑問だったが、やっと氷解した。


 尻叩きが、新庄の役目なのだ。


 悔しい。だが、新庄の決めつけを否定する言葉が、市川には見つからなかった。

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