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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#2 戦慄の文芸担当
16/213

木戸

 新庄の怒鳴り声に、三村は両目を飛び出んばかりに見開き、振り向いた。


「木戸さんが、内側から鍵を……」


 判りきった場面を説明してる。新庄は唸り声を上げ、三村をドアから引き剥がすように突き飛ばし、だんだんだんっ! と拳を上げて連打した。

 市川は洋子に向けて尋ねる。


「木戸さん、引き篭もりなのか?」


 洋子は呆れたような表情を浮かべた。

「馬鹿ね。それを言うなら立て篭もりって言いなさいよ」


 市川は恥ずかしさに顔に血が昇るのを感じていた。新庄が喚いている。


「木戸さんっ! 開けてくれっ!」

 怒鳴ると、耳をドアに押し当てた。ぐるぐると目玉が別の生き物のように動く。


「こっちへ」と新庄は、顎をしゃくった。新庄の周りに、市川たちが顔を近寄せる。


「こうなったら、ドアを押し破るしかないな。皆、協力してくれ!」

 全員「うん」とばかりに、一斉に点頭する。


 ドアの前に肩を組み、息を合わせた。


「行くぞ、せいのっ……!」


 新庄の掛け声に合わせ、全員が破れかぶれでドアに体当たりを懸ける。

 ばたーんっ! と思いもかけない大仰な音がして、ドアが部屋の内部へ倒れこんだ。勢いが余り、市川たちは部屋の中へ雪崩れ込んで、床にごろごろと転がってゆく。


 演出部屋は真っ暗だった。


 うろうろしていると、ドアの近くに立っていた三村が、ぱちりと電灯のスイッチを入れた。

 ぱっ、と照明が点いて、白々とした明かりの中に、一人の人物が怯えきった顔付きで呆然と立ち尽くしていた。


 木戸純一であった。

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