戦争物
市川らは、王子随行員のため、用意された部屋に集まって、額を寄せ合った。
新庄が口火を切る。
「どうするんだ? 帝国軍の兵器を設定する羽目になったみたいだな」
山田が苦悩を顕わにして、眉を寄せた。
「戦争物か! 大抵、戦争物のアニメってやつは、シリーズが長くなるんだよなあ……。もし、本格的な戦争になったら、いつになったら帰れるか、判らんぞ!」
洋子は、あっけらかんと口を挟む。
「あら! 問題ないわよ! 三村君の言うとおり、帝国側に超強力な兵器を登場させれば良いじゃない? バートル国は、どう見ても中世の装備しかないみたいだし、マシンガンとか、戦闘機相手に、勝てるわけないもの」
山田は首を振った。
「それでは、虐殺だ! 仮にも戦争だぞ! おれたちは、そんな一方的な戦いに手を貸すなんて、絶対に御免被るからな!」
山田の反対意見に、洋子は一遍にぺしゃんこになった。
「御免、そこまで考えていなかった……」
市川は、ぽつりと呟くように口を開く。
「そうか……。戦争になっても、人が簡単に死なないような戦いだったら……」
山田は、ぎょっとなって市川に顔を向ける。
「市川君! 君は何を言おうとしているんだ?」
山田の反応に、市川は「えっ」と我に返った。思わず、胸に浮かんだ考えを口に出していた自分に気付く。
「悪い、ちょっとボーっとなっていた……」
しかし、新庄は目を輝かせている。
「いや、今の市川の意見は、面白いぞ!」