方法
市川は、かっかと、頭に血が昇るのを感じていた。
「何でそうなるんだ! あの〝声〟が言ったろう? 五人が揃って、冒険を終わらせろって……。あいつが脱けたら、おれたち、元の世界へ帰れなくなるぞ!」
山田が首を振った。
「五人揃って、とは言ったが、三村君があの状態では駄目だ、とは言っていないぞ。それに、おれは、ある考えが浮かんでいる。なぜ、三村君が王子様のままでいるのか……」
市川は山田に身を乗り出して話しかける。
「本当かい? 本当に、訳が判ったのか?」
「推測だがね。今までの体験で、三村君はおれたち以外の、つまり『蒸汽帝国』のキャラクターが同席している場合、王子様となる。今は、エリカ姫が一緒だ」
全員「あっ」と小さく叫び声を上げた。
「そうだよ……。エリカ姫と、三村は、いつも一緒にいる……。すると、エリカ姫……つまり田中絵里香は『蒸汽帝国』のキャラクターって結論になる……」
市川は一気に捲し立てた。新庄は大きく頷いた。
「そうなんだ。おれ、絵里香と少し話したんだが、木戸さんの漫画は覚えているが、アニメについては完全に知らないらしい。つまり、最後に木戸さんが憶えている絵里香の状態なんだ。実際の田中絵里香ではない……」
洋子が首をちょっと傾げた。
「それじゃ、エリカ姫がいない時は、元の三村君に戻るのかしら?」
市川は勢いづいた。
「そうかもしれない! 試してみる価値はありそうだ!」
洋子は目を光らせた。
「でも、難しいかもよ。あの二人、いつもべったりくっついているんだもん!」