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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#10 逆襲! リテークの嵐!
148/213

感化

 エリカ姫の視線が、探るようなものになった。

「あんた、平ちゃん……よね?」

「そうだ、新庄平助。思い出したか? 君は田中絵里香……。違うかな?」


 エリカ姫……または絵里香の目が大きく見開かれた。おずおずと右手が挙がり、自分の額をごしごしとこする。


「あたし……あたし、何をしたの? どうして、ここにいるの?」


 新庄は辛抱強く続ける。

「君は、ここにいる三村君……アラン王子に切り掛かったんだ。殺そうとしていた。憶えていないのか?」


 絵里香の視線が三村に向かう。一瞬、憎しみの表情が浮かぶが、すぐに消えた。

「あ、あたし……! そう、アラン王子を殺そうと……ドーデン帝国は妾のバートル国を狙っている! 者ども! 出会えっ! わらわと共に戦おうぞ……!」

 途中から絵里香の口調が切迫したものになったが、最後に「はっ」と我に返った。

「今の、あたしの台詞? あたしが言ったの?」


 山田が、首を振った。

「相当、この世界に感化されているな。本来の自分を、エリカ姫という役割が、覆い被せている」


 絵里香は眉を寄せた。

「この世界? この世界って、何?」


 新庄がゆっくりと言い聞かせる。

「木戸さんの『蒸汽帝国』だ。おれたちは、木戸さんの描いた『蒸汽帝国』の中にいる」

 絵里香の唇が「純一?」と、音もなく動いた。すぐさま全身が弾けるように跳ね上がり、すっくと立ち上がる。

「違うわっ! あれは祐介の『蒸汽帝国』よ! あいつなんか、祐介の原作をなぞっただけじゃない!」


 その時、三村が口を開いた。

「教えて下さい。なぜ、僕を殺そうとしたのですか? ドーデン帝国が、あなたがたのバートル国を併合しようとしている、などという考えは、どこから湧いて出たのです?」


 絵里香はポカンと、虚脱したような表情になった。

「それは、導師様が……」

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