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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#10 逆襲! リテークの嵐!
147/213

目覚め

 気絶したままのエリカ姫を、三村の私室に担ぎこみ、ソファに横たえさせる。市川以下、山田、洋子、新庄、三村は、手足を投げ出した姫の顔をしげしげと覗きこんだ。

 ドアの向こうには、アラン王子を護衛する兵士が立っているはずである。三村は王子の威厳で、呼ぶまで、何があっても入ってくるなと厳命していたから、今は市川も普通の口調で三村に話しかけられる。


「どうする、三村。このお姫様……」


 言いかけ、市川は口をつぐんだ。

 何か変だ。余人の入らない、市川たち【タップ】のスタッフのみになれば、三村はいつものように、おどおどとした気弱な表情を浮かべるはずなのだが……。

 ところが、三村は真っ直ぐに、市川の目を見つめ返している。視線は、全くぶれていない。顎を高々と上げたままだ。

 まるで王子様、そのものである……。


「三村……君?」


 市川の呼びかけに、三村は微かに首を傾げた。唇が動き、意外な言葉を押し出す。

「それ、わたしの名前ですか? わたしの名前は、アランです。お忘れですか」

「ええっ!」


 市川は驚きのあまり、仰け反っていた。


「三村君っ!」「何を言っているの?」


 山田と洋子が、同時に叫んでいた。新庄は、黙って三村を見上げている。

 三村は平然としていた。

 その時「ふうーっ」と息を吐く気配がして、一同はソファに視線を戻した。


 エリカ姫が目をまたたいている。

 視線が室内を彷徨さまよい、三村の顔に止まると、ぎくりと身を強張らせた。


「ここはっ?」

「飛行船の中だ」


 新庄がするりと前へ出て、話し掛けた。表情は安心させるように、強いて穏やかさを保っている。

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