スケジュール
新庄は、五分刈りの頭を、ぴしゃりと叩いた。
「テレビ局と、代理店を回っていたんだ。何とか、放送日を延ばして貰おうと思ってな」
「うまく行きました?」
市川は僅かな期待を込めて話し掛けた。新庄は頭を振って否定した。
「駄目だった……。すでにスケジュールは、局のコンピューターに登録されていると説明された。どうにも、延ばせないそうだ」
「そうですか……」
市川は落胆した。テレビ局の放送スケジュールがコンピューター管理されるようになって、放送日の移動、延期は極めて難しい状態になっている。
例えて言えば、がっちり組み上がったブロックの隙間を動かすようなもので、そう簡単に変更はできない事情がある。
大事故や、プロ・スポーツの雨天中止などのアクシデントによる放送延期とは違い、アニメなどの連続物は、挟まれるCM契約によりがんじがらめになっている。
連続ドラマは、CM枠を確保するため何が何でも契約通りに流さねばならないのだ。もし延期が決定すれば、スケジュールにも余裕ができたろうが、僅かな希望も吹き飛んだ。
新庄は、上を睨みつけた。
「今夜、絵コンテ打ち(合わせ)のはずだよな。何やってんだ……」
山田がのんびりとした声を上げた。
「それが、まだ、木戸さん、絵コンテを上げていないみたいで……」
「何いっ!」
見る間に新庄の顔色が怒色に染められ、素早く階段を駆け上がる。市川たちは、新庄の背後に続いて、階段を駆け上がった。