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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#10 逆襲! リテークの嵐!
137/213

時代劇

 ターラン大公は、もじもじと居心地悪そうに身動きし、眉を顰めた。

 ぴーんと張り詰めた緊張が、その場を支配している。誰も、言葉もなく、三村を──アラン王子──と、エリカ姫を見詰めていた。


「どうか、なさいましたかな? わが国の出迎えに、何か、手違いでも?」


「いや」と、三村が王子らしく、悠揚迫らぬ態度を保ったまま、軽く会釈をする。

 唇の端に軽く笑みを浮かべながら、大公を見詰め「お国の歓迎には、深く感謝いたしております。両国の友誼は、ますます深まるでしょう」と、すらすらと答えた。

 しかし、三村の横に、べったりと貼り付くように控えていた騎馬隊長は、そうではなかった。

 表情に、ありありと不審の念を浮かべ、澄ました顔で端座しているエリカ姫を睨んだ。


「そちらの……エリカ姫と仰いましたな……。我ら、全く同じ顔をした曲者に出会っておるので御座る!」

「曲者ですと?」


 大公は、思い切り渋面になった。

 穏やかな温顔をした、品の良い物腰をした老人が、困惑の表情を浮かべている。

 騎馬隊長は、さらに厳しい顔付きになった。


「さよう……アラン王子殿下は、あろうまいか、貴国に向かう旅の途中、兵士と偽った女暗殺者の襲撃を受けたので御座る! その暗殺者こそ、そこにおわす、エリカ姫!」


 いきり立ち、隊長はさっと立ち上がった。指を姫に突きつけ、怒号する。

とつ! 貴様の正体は何だ! きりきりと白状いたせ! 王子殿下を狙った訳は? 背後に糸を引くのは、大公殿か?」




 あーあ、本気で時代劇やってらあ、と市川はシラけていた。本人は大真面目なのだろうが、傍から見ると、馬鹿みたいである。

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