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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#10 逆襲! リテークの嵐!
132/213

空腹

「ふうん」と市川は納得して、町民に手を振っている三村を見詰めた。


 今の三村は、完全に王者としての威厳を漂わせている。アニメの制作進行をしていた三村の面影は、欠片も見当たらなかった。


 城下町を通り過ぎると、ぷん、と市川の鼻に香辛料の香りが漂ってくる。

 沿道に目をやると、簡単な天幕を張った露天の屋台が立ち並んで、様々な料理を客に出しているのが見える。肉、揚げ物、スープなどが供され、白い湯気があたりに満ちていた。


 くんくんと鼻を鳴らし、市川はごくりと唾を飲み込む。

「カレーの匂いだ! たまんねえ!」

「そう言えば、腹が減ったな」

 市川の呟きに、山田が深く頷き、同意した。洋子もまた唾を飲み込んでいる。

「もう……思い出させないでよ。あたし、カレーは大好物なんだから。ああ……、元に戻ったら、一目散に食べに行きたい!」


 ドットは、にこにこと人の良い笑みを浮かべている。

「皆さん、ご空腹のようですな! ご安心めされよ! 城に着けば、皆さん方の昼食を用意しておりますゆえ……」


「本当かい?」

 市川は身を乗り出した。馬車の窓から首を突き出し、近づく城門を見上げる。

 高い胸壁に、天を指す尖塔。どっしりとした巨大な石組みによって、城は建てられている。

 城の中央には巨大なドームが被さり、外壁には色タイルによって、精緻な幾何学模様が描かれている。実に古風な、王宮らしい建物である。


 市川は一刻も城に入りたいと、熱望していた。

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