表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#10 逆襲! リテークの嵐!
131/213

事情

 迎えの役人はドットと名乗って、話し好きらしかった。

 城下町を馬車が通り過ぎると、沿道には町の人間が勢ぞろいして、物見高い視線をこちらへ向けている。ドットは三村に向き直り「お手を振って下され! 未来の国王陛下に対し、町民どもは歓迎しておりますので」と勧める。

 言われて三村が馬車の窓から手を振ると、町民たちは熱烈な歓迎を表す。わあっ……と歓声が上がり


「ばんざーい! ばんざーい!」と声を上げ、手を盛んに振り返した。


 市川はドットの言葉を聞き咎めた。

「未来の国王?」


 ドットは、当然とばかりに頷く。

「わがバートル国においては、国王の血筋が絶え、摂政閣下が政治を司っておられますので。しかし、国王がいらせられない状況は、どうにも具合が悪く、それでドーデン帝国との友誼ゆうぎで、アラン王子殿下に白羽の矢が立ったので御座います」


「それじゃお姫様というのは? 御姫様が王位を継いで、女王様になればいいのに」

 洋子がドットに尋ねる。表情には、好奇心が剥き出しになっていた。洋子の、ゴシップ好きの感情が刺激されたのだろう。


 ドットは丁寧に答えた。

「摂政閣下のご息女で御座います。わが国では、女子は王位を継げませぬ。あくまでも、男子のみが、正式な後継者となります。前王は、ドーデン帝国の血筋のお方であらせられましたが、ご不幸にも、ご結婚前に薨去こうきょなされました。それで、ドーデン帝国より、アラン王子殿下をお迎えする仕儀となります」


 初耳だった。市川の隣で、食い入るように城下町の家々を眺めていた山田は頷き、小声で市川に説明した。


「十九世紀末の、大英帝国と似た事情があるのさ! 当時、英国はビクトリア女王の治世にあったが、デンマーク、プロイセン、スエーデンなどの王国には、ビクトリア女王の子供が多く婿入り、嫁入りしていた。それで大英帝国は、欧州において、確乎とした地位を保っていた。日本の戦国時代も同じだ。つまり、閨閥けいばつというやつだな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ