城下町
迎えの人物は、マッチ棒のように痩せこけた男で、手にはごてごてと飾りがつけられた杖を持っていた。その杖を掲げ、気取った仕草でお辞儀をする。
顔を挙げると、脳天に突き刺さるような甲高い声で、高々と歓迎の辞を述べた。
「ドーデン帝国第五王子アラン殿下御一行様、ようこそいらっしゃいました! わがバートル国摂政、ターラン閣下と姫君は、アラン王子殿下をお待ちになられておられます!」
飛行船のドアが開き、タラップが地面に伸ばされ、アラン王子──三村健介が、堂々とした物腰で姿を表す。出迎えの男は、全身に電流が流れたように緊張の色を見せた。
市川たちは三村の後に続き、飛行船からタラップで地面に降りる。
出迎えの役人は、飛び跳ねるような動きで、三村を馬車へと案内した。顔には溢れるような好意が表れ、満面の笑みを浮かべていた。
「ささ! こちらで御座います。お付きの方々も、ご一緒に……」
「お付きの方」と言われ、市川は心中臍をひん曲げたが、顔には出さぬよう用心した。
三村を先頭に馬車に乗り込むと、役人は馬丁に合図した。馬丁は頷くと、手にした鞭を空中でぴしりと鳴らし、馬を進める。
ごとごとと車輪を鳴らし、馬車は進む。馬車が動き出すと、軍楽隊が騒々しい音楽を奏でながら、行進を始めた。
と、市川は場所の窓から、飛行船に目を向けた。一人のドーデン側の若い兵士が、飛行船から外に出てくると、足早に立ち去っていく。
それを見送っていると、山田が進行方向を見詰め、歓声を上げていた。山田の視線の先には、城と、その周りに立ち並ぶ民家が全容を現してくる。
城下町が近づいてきた!