表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#1 嵐を呼ぶ企画会議
12/213

確認

「雨になるかなあ……」


 山田の呑気な口調に、市川は顔を上げた。山田は窓ガラスに顔を押し付けるようにして立っている。夜景に、雲の間から稲光が数度、瞬いていた。ごろごろごろ……と、遠雷が聞こえている。


「やだ! あたし、傘を持っていないのよ」


 洋子が顔を顰めた。

 その時、ドアが開き、三村が気弱そうな顔を突き出した。手には盆を持っている。盆には、人数分の珈琲カップが載っていた。


 かっと市川の頭に血が昇った。


「三村! そんな気を回す前に、監督に絵コンテができたかどうか、確かめてこいよ!」


 がちゃーん! と三村は市川の声に驚愕して、手にした盆を引っくり返した。


「は、はいっ! 今すぐ……!」


 おろおろ声を上げ、三村はパニック状態のまま引き下がった。すぐに、どたばた、じたばたと、三村が階段を登っていく音が続く。


「監督……監督……。三村です……。そのお、進行状況をお伺いしたいのですが……」


 三村の声が、天井を伝わって、微かに聞こえてくる。と、沈黙が続いた。

 市川は山田と、洋子に目顔で「どうなってるんだ?」と問い掛ける。

「さあ」と山田と洋子は同時に肩を竦めた。


「監督っ!」


 出し抜けに、三村の悲鳴が降ってきた。声には切迫した調子が含まれている。


「監督っ! ドアを開けて下さいっ!」

 更なる三村の大声に、市川は立ち上がった。


「行って見よう! 何だか、ヤバそうな雰囲気だぜ……」


 山田と洋子も頷き、神輿を上げる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ