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態度
「全く同感ですな! 王子殿下、まずは、お休みなされませ! バートル国へは、旗流信号にて、到着の遅れを伝えますゆえ……」
三村は素直に頷いた。隊長は一歩ささっと前へ出ると、表情に誠意を溢れさせ、言葉を重ねる。
「殿下の身の安全のため、わが騎馬隊の精鋭を護衛に侍らせたいと存じますが?」
三村はちら、と市川たちを見る。ゆっくりと騎馬隊長の目を見て、首を振った。
「いや……それには及ばぬ。わたしは、わたしの選んだ従者に守って貰うつもりだから……。悪く思わないでくれないか?」
騎馬隊長は「はっ!」と大きく返事をすると、全身をそっくり返らせるような直立不動の姿勢になった。大袈裟な男だ。
「それでは諸君、わたしは少し、休ませて貰おう……」
軽く頭を下げ、三村は堂々とした物腰のまま、退出する。市川たち四人も、その後を追った。全く、生まれながらの王族としか思えない、毅然とした態度である。