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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#8 強襲の美術設定
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呼び掛け

 何事か、喚き声を上げ、あの騎馬隊長が駆け寄ると、三村の背後から抱きとめた。後ろに、ずるずると引っ張っていく。

 恐ろしい迫力をもって、女は次々と三村に切りつけていた。市川はその前に立ち塞がり、手に持った剣で防いでいる。

 女の動きは目にも止まらぬほど早く、市川は剣を打ち合わせるのがやっとである。が、互角に勝負しているのは、確かだ!


 こんなに自分が剣の達人であるとは、全く知らなかった! まるで時代劇のチャンバラそのものじゃないか?


 きいーん、かきーんと型通り二人の剣が交錯し、剣が打ち合うたびに、鉄が焼ける。金臭い臭いが、市川の鼻腔を打つ。


「その女を捕えよっ!」


 騎馬隊長がやっと自分の本分を思い出したのか、顔を真っ赤に染め、喚いていた。

 騎馬隊長の命令に、その場に立ち尽くしていた全員が、目が覚めたように動き出す。

 わっ、と女を目掛けて飛び掛る。


 女は素早く周囲を見回すと、ぐっと身を沈め、思い切り飛び上がった。


 市川は呆然と女を見上げていた。

 女は、完全に、全員の頭の上を飛び越えていた。まるでアニメの活劇場面だ! いや、今は自分はアニメの世界に入り込んでいるから、これは当たり前の描写か?


 空中でひらりと、女は蜻蛉とんぼ返りを打つと、すたっ! と音を立て、着地する。

 女の目の前に、新庄が立っていた。

 新庄は女の顔を見詰め、呟いた。


「君、絵里香えりかだろ? 田中絵里香。違うかい?」


 絵里香、と呼びかけられた女の動きが止まった。ぽかりと口を開け、まじまじと新庄の顔を見詰めている。


「あんた、平ちゃん?」

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