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OKサイン
市川は三村を見た。
「そりゃ、常識的に考えれば、木戸監督に渡してOKを貰う段取りだよ。三村が制作進行なら、届けなきゃならねえ……」
「僕が、ですか」
恐る恐る、三村は市川と山田から設定画を受け取った。
「わっ!」
三村は小さく悲鳴を上げた。
何と、受け取った三村の手許から、設定画がじわじわと空中に溶け込み、消えていった。
きょろきょろと五人は、客室の内部を見回していた。
「どこへ行った?」
「消えちまったぞ!」
はらり……と空中から再び用紙が出現し、ふわりと床に舞い散った。
一枚を手に取り、市川は喚いていた。
「これを見ろよ!」
全員が市川の手許を注目した。市川は一同に用紙がよく見えるよう、掲げた。
「木戸さんの……」と新庄。
「OKサインだ!」これは山田。
出現した設定用紙には、木戸監督のOKサインが、でかでかと書かれていた!