いろいろ気になる令嬢は、迷子になって最愛を見つける
読んでいただきありがとうございます。
「お嬢様、今日こそは、迷子にならないでくださいね、次に迷子になったら、腰に紐をつけますよ~」
「ララ。それだけは勘弁して、掴まった、囚人みたいじゃない」
「商業街に、出かけるたびに、迷子になるんですから、探す人の身にもなってくださいよ~!私が、首になっちゃいますからね」
「ララのことは、お父様が何と言っても、私が守るから安心して♪」
私は伯爵家で、迷子になる天才と言われている。
んー。ちょっとだけ、興味がある物や人に、ついつい夢中に、なっちゃうだけなんだけど……。
この間も、ララと買い物中に、気になるお店を見つけて……だって、はちみつを使った、フィナンシェのお店だったの、それも!紅茶もはちみつ入り!そんなの食べてみたくなるに、決まってるでしょ~。
ついつい、ララに声をかけずに、カフェに入ってしまい。
ララにも、お父様にも怒られた。
「今日の目的は、奥様に送る花束ですからね。このまま、真っすぐのお店です、決して曲がらないでくださいね」
「…………。」
「あれ?お嬢様?ココナ様~」
✿ ✿ ✿
少し前
「今日の目的は、奥様に送る花束ですからね。このまま、真っすぐのお店です。決して曲がらないでくださいね」
あら?あんなところに、雑貨屋さんなんてあったかしら?
小路の先に、古びた看板。
あら古本も、置いているのね……。
私は、吸い込まれるように、小路に曲がり、おしゃれな雑貨屋に入る。
「わあ。素敵な、アンティーク小物ね」
「お嬢さん。目が効くね、それは500年前の、小物入れでね、飾りはガラス玉だが、綺麗だろ~」
「ほんと、素敵な品ね~」
「おいくらですか?」
「500ラドだよ」
「じゃあ。いただこうかしら」
「毎度あり」
カランカラン~。
私は、小物入れを抱えて、ご機嫌でお店を出た。
「あら。そうだララと、またはぐれてしまった」
慌てて、もとの通りに、戻ろうとすると、石畳に躓いて派手に転び、手に持っていた包みが飛んでいく。
「キャー。いたた」
転んだ恥ずかしさと、小物入れが、割れていないか心配で、急いで顔を上げると……。
良く晴れた朝の空みたいな、薄群青の瞳と眼があった。少し、眼にかかった黒髪が、風に揺れてキラキラしている。
「はあ~。素敵な三白眼……。」
私は、思わず見惚れてつぶやく。
「目つきが悪いって、言われたことはあるけど、素敵なんて初めていわれた」
青年が、私に手を差し出す。
「ありがとうございます……転ぶの見てました?」
「はははっは。派手に転んでたな、荷物は俺がキャッチしたよ」
「重ね重ね、ありがとうございます、私はロンフェム伯爵が長子、ココナと申します、この度のお礼は後日また伺います。お名前を、教えていただいても、よろしいでしょうか?」
私が真っすぐ見つめると、青年は、恥ずかしそうに目を伏せて、横を向いた。
「まーあの、俺はカイル。この港で商会を手伝ってる……さすがに、その恰好で街を歩くのは……家の商会で扱っているもので良ければ、着替えてくれ」
その恰好?
ワンピースを見下ろすと、転んでひっかけたのか、スカートの部分が、ざっくりと裂けて腿まで見えている。
「キャー、見ないでください」
「見てない、見てない、とりあえずこれを巻いて」
カイルさんは、自分の着ていた、ジャケットを差し出す。
お言葉に甘えて、ジャケットを腰に巻き、カイルさんの働く、バクト商会へと向かった。
「坊ちゃん、お帰りなさいませ」
「セバスチャン、彼女に似合いそうなワンピースを、何枚か執務室へ持ってきてくれ」
「おやおや。かしこまりました、マゼンダに持って行かせます」
セバスチャンと呼ばれた、白髪交じりの男性は、私を見てニコニコの笑顔だ。
カイルさんは、商家のご子息かしら、服装を見るかぎり、貴族ではなさそうだけど、とても綺麗な立ち振る舞いね。
私は、執務室に案内される。
ダークブラウンで統一された、落ち着いた素敵なお部屋。
「そのソファーに座って、直ぐに着替えが届くから」
「ご迷惑をお掛けして、すみません」
「全然。迷惑なんかじゃないよ、あと荷物は割れ物?大丈夫だと思うけど、確認してみて。今お茶を入れるね」
お茶を入れる所作も綺麗、背が高いし、見れば見るほどかっこいい。
カイルさんの所作に、眼を奪われていると、空いたドアがノックされる。
「カイル坊ちゃん、新作のワンピース持ってきましたよ~。ついに、彼女ができたんですか?」
ノックと共に入ってきた、かっぷくのいい女性と目が合う。
「まあまあ、あらあら。かわいらしいご令嬢で♪何色が似合うかしらね~キャラメルみたいに、甘い髪色だから、落ち着いた色が似あうかしらね、でもまだ若いんだから、グリーンやオレンジもいいかも」
「あ あの私は彼女ではないんです。道で転んだところを、カイルさんに助けていただきまして」
「あらあら。出会ったばかりなのね」
女性はニコニコして、カイルさんに眼を向ける。
「あー。マゼンダ……とにかく、彼女の着替えを手伝ってやってくれ、俺は少し部屋を出ているから」
「はいはい。坊ちゃん、マゼンダにお任せください」
それからマゼンダさんに、沢山ワンピースを試着させてもらい、若草色に白い小花模様が綺麗な、ワンピースをいただいてしまった。
何度も、料金の支払いを願い出たが、カイルさんもマゼンダさんも、頑として受け取ってくれなかった。
すすめられるままに、お茶をいただいていると、どこからか甘くていい匂い。
ぐぅぅ~。
!! まさかの派手なお腹の音に、私は体中が赤くなった。
「昼もだいぶ過ぎたから、お腹がすいたろ、マゼンダに、パンケーキをお願いしたんだ」
運ばれてきた、マゼンダさんの作ったパンケーキは、表面はさっくり、中はふわふわで、今まで食べたパンケーキの中で、一番の美味しさだった。
添えられたジャムとクリームも絶品。
夢中で食べていると、向かいに座るカイルさんと目が合う。
「おいしい?」
「はい。こんなふわふわ、初めて食べました」
「俺も小さな頃、マゼンダに、このパンケーキを、よく作ってもらったんだ」
そういいながら、カイルさんの手が、私の唇の端をすくう様に撫でる。
「クリームがついてるよ」
カイルさんは、その指をぱくりと自分の口に入れる。
「ふぎゅ」
カエルが、潰れたみたいな声がでた。
頬が熱い。
カイルさんといると、ずっと胸がドキドキする。
これが、人を好きになるってことかしいら……。
「荷物を見てみもいい?」
「はひ!」
私は頭の上から蒸気《出てる気がしました》を出しながら、パンケーキを平らげた。
小物入れを、カイルさんが確認する。
「ああ。パーツがひとつ外れている、ごめん俺が強く握ってしまったんだ」
「カイルさんは、悪くありません。私が転んだから……」
カイルさんは、ににっこり微笑む。
「これくらいなら、直ぐに直せるから安心して」
デスクの引き出しから、道具を取り出し、外れた水色の丸いパーツを、手際よく取り付ける。
「わあ。カイルさん器用ですね」
私が、カイルさんの手元を覗き込むと、さわやかな中に少し深みがある、ベルガモットのいい匂いがする。
「いい匂い」
思わず出た私の言葉に、カイルさんの頬が朱に染まる。
「や。すすみません、私ったら失礼なことを」
2人でアワアワしていると、ドアがノックされた。
ドアの方を見ると、マゼンダさんと、鬼の形相で腕を組む、ララが立っていた。
「お嬢様!どれだけ探したと思っているんですか!」
怖い!ララが、すさまじく怒っている。
「ララ。心配かけてごめんなさい」
ララは、平謝りする私に抱きついて泣き出した。
「心配したんですから~」
わんわん泣くララをなだめて、商会の皆様への、お礼もそこそこに、帰宅することになり。
私は、心に誓う。
来週のお休みには、ちゃんと手土産を持ち、お礼に来よう。
そして、カイルさんを、振り向かせるための作戦を開始するぞ!
えいえいおー。
私が高らかに上げた拳は、ロンフェム伯爵家で、お父様に見事に、打ち砕かれることになる。
✿ ✿ ✿
「お父様、酷いです。私、好きな人ができましたの、その方以外とは、結婚しません」
「ココナ。マクロ侯爵家からの釣書なんだぞ、伯爵家が、断れるはずがないだろう。それに、その好きな人とは、どこの誰だ?侯爵家よりもいい家柄か?」
「むー。家柄なんて、問題ではありませんわ!家族になるんです。家族になる人は、私が選びます、伯爵家は、妹のリリナが継げばいいですわ」
「おい。リリナはまだ7歳だぞ」
「貴族の、年の差なんて、12歳くらいどうという事はありません」
お父様は両腕を組み、眉間に皺をよせて立ち上がり、向かいのソファーに、座る私を見下ろした。
「マクロ侯爵家には、まだ返事はしていない、1週間だけ猶予をやろう。お相手のデービッド様は、お前と同じ学院に通う18歳だ。成績も優秀で、見目もいい、デービッド様を見たうえで、もう一度話し合おうじゃないか」
お父様は、私を睨みつけながら、部屋を出ていく、私も、負けじと同じ熱量で、お父様を睨み返した。
「明日、学院でデービッド様と、話をつけましょう!」
✿ ✿ ✿
「うーん。といっても、いきなり違う学年の校舎に、訪ねていけない……デービッド様は、どんなふうに、話を聞いているのかしら、好きな人とかいないのかしら?」
昼休みに、中庭で独り言をつぶやいていると……私と同じように、デービッド様を、遠くから見つめる視線に気がついた。
あの方はたしか、アキモンド公爵令嬢のソフィア様。
いつ見ても、サラサラのプラチナブロンドが素敵ね~。それにしても、ずっとデービッド様を、見つめている……もしや。
私は、思い切って、ソフィア様に、話しかけることにした。
「突然、お声掛けしてすみません。アキモンド公爵令嬢の、ソフィア様でいらっしゃいますか?私、ロンフェム伯爵家の、ココナと申します」
ソフィア様は、私の顔を見て少し驚いた顔をした。
「ロンフェム伯爵の……。」
「学院内とは言え、ぶしつけにお声がけしてすみません。私の思い違いでなければ、ソフィア様と、是非協力関係を結びたくて」
「私と?」
「はい。間違っていたらすみません。ソフィア様は、もしかしてデービッド様を、お慕いしているのでは?」
ソフィア様のお顔が、みるみる赤くなる。
か かわいい。
「あの、私はただ……。おふたりの婚約を、邪魔するつもりはありません、ですから好きな気持ちだけは、許してもらえませんか?」
私は、嬉しくなってソフィア様の両手を握る。
「ソフィア様。私も好きな人がおります、その方は、デービッド様ではありません。ですからお互いの恋が実るように、協力いたしませんか?」
それから、ソフィア様と楽しく、作戦会議をしてみたが……結局、デービッド様の、お気持ちを確認しないわけにいかないと言う、結論に至り、ソフィア様のお兄様にも、協力を願い出ることにした。
ソフィア様の恋の始まりは♪
お兄様の所に、遊びに来ていたデービッド様と関わるうちに、デービッド様の優しさに、心惹かれたんですって~。
ん~キュンキュンしちゃう。
作戦は、ソフィア様のお兄様に、放課後デービッド様を、公爵家に誘っていただき、そこに私達も、乗り込んで、お気持ちを、確認することに決まった。
=作戦決行当日=
コンコン。
「お兄様、少しいいでしょうか?今日は、私の友人も一緒なのですけど」
「ああいいよ。ちょうどデービッドも、来ているんだ」
ドアが開くと、ソフィア様そっくりの美丈夫なお兄様と、濃いブロンドのくせ毛を、後ろに流したデービッド様が、お茶を飲んでいる。
デービッド様の瞳は、まったく私に向くことがなく、ソフィア様に釘付けだ。
ソフィア様が、可憐にほほ笑み、私を紹介する。
「こちらは、私の友人で、ロンフェム伯爵令嬢のココナ様、最近お話しする様になったのだけど、とても気が合って楽しいの」
「アキモンド公爵家にようこそ、ココナ嬢。ソフィアの兄ゼインです。こちらは、友人のデービッド」
デービッド様は、初めてソフィア様の友人が、ロンフェム伯爵の、ココナであることに気がついたようで、こちらを向いていない瞳が、大きく開かれた。
「ココナ嬢、初めまして。マクロ侯爵家のデービッドです。公にはなっていませんし、お返事もいただいてはおりませんが、私のことは聴いておいでですか?」
デービッド様は、目を伏せたまま尋ねてくる。
「初めましてデービッド様。質問を、質問で返すことをお許しください。デービッド様が、お慕いしているのはソフィア様ですよね」
私は、デービッド様を見据えて、単刀直入に訊ねた。
デービッド様は、弾かれた様に顔を上げて、ソフィア様を見つめる。
私は、言葉を重ねた。
「あの、私にも他に思う方がいます。身分とか関係なくて好きになった人でたとえ自分が貴族では無くなっても一緒に居たいと思う方です。まだ気持ちも伝えていませんが、初めて好きになった人なんです」
デービッド様が初めて私をちゃんと見た。
「ココナ嬢、君は伯爵家を継がなければならないのでは?」
「もちろん、継ぐために努力を、重ねてきました。でも、家族になるのは、好きな人がいいです。ね~。ソフィア様」
「はい。私も、好きな人と家族を作りたいです」
ソフィア様は、デービッド様をまっすぐに見つめる。
「ソフィア嬢……。」
デービッド様の、瞳が揺れる。
「デービッド。君は次男で、爵位が継げないことを気にしているようだが、我が公爵家には、いくつもの爵位がある。ソフィアの相手に、爵位がない場合は、伯爵位を分ける予定でいたんだが……。」
ゼインお兄様が、デービッド様の肩を力いっぱい叩いた。
デービッド様は、ゼイン様を一度見て頷くと、ソフィアの前に跪く。
「ソフィア嬢、以前からあなたを、お慕いしていました。どうか僕の手を、取っていただけないでしょうか?」
ソフィア様の眼から、大粒の涙が溢れる。
デービッド様の手が震える。
ソフィア様と、眼があった。私は大きく肯く。
「私も、お慕いしておりました」
ソフィア様が、デービッド様の手を取った。
「「やったー。キャーおめでとう」」
私とゼイン様は、手を取り合って喜んだ。
「さて、次はココナ嬢の番だね、好きな人はどんな人なんだい?妹を幸せにしてくれたんだ、アキモンド公爵の力を、フルに使って応援しよう」
「私の好きな方は、バクト商会で働いている方です。執事の方や、乳母らしき方もいらしたので、商家でも大きなお家ですかね?」
「ココナ様、つかぬことを伺いますが、バクト商会は何処が、経営しているかご存じですか?」
「ソフィア様。私も家を継ぐため、勉強はしております。バクト商会の運営は、バクト侯爵家がしておいでです。現在は、ご子息が中心に運営されていて、嫡男はアイゼル様です」
「知っては、いるんだね~」
ゼイン様が、いぶかし気に首をかしげる。
「私なにか、変なこと言ってますか?」
「ココナ様が、思いを寄せられているのは、カイル兄様では?」
「ソフィア様!カイルさんを知ってるんですか?」
「「「…………」」」
三人が私を見て、盛大なため息をつく。
「カイル兄さまは、バクト侯爵家の次男で、アイゼル様の年の離れた弟君よ」
ソフィア様の説明に、私は固まる。
侯爵家のご子息に……気さくに話しかけ……商家の方だと思ってた……なんという失態。
「母上と、バクト侯爵夫人は姉妹でね、小さな頃から、兄さんたちには良く遊んでもらったんだ、アイゼル兄さんが家督を継いで、カイル兄さんは、学院を卒業後に商会の事業を、中心に家を支えている、カイル兄さんには、もちろん多くの婚姻申し込みがあるけど、気になる子がいるからと、みんな断っているな~」
ゼイン様が、渋い顔をする。
「ところで、ココナ嬢はどうして、カイン兄さまと知り合ったの?もしかして、私みたいに見てるだけ?」
ソフィア様が、キラキラした瞳で聞いてくる。
私は、カイン様に気になる人がいると知り、どんよりと沈んだ気持ちのまま、出会ったきっかけを、三人に説明した。
「うーん。大丈夫、カイン兄さまは、誰彼かまわず親切にはしない。さっきも言ったけど、アキモンド公爵が、全力で力になる。少し僕たちに時間をくれないか」
みんなに励まされ、帰って来たものの……うぅ~。
好きな人ができたのに……政略結婚も回避したのに……直ぐに撃沈。
カイル様に貰ったワンピースと、直してもらった小物入れを抱いて、ボロボロと泣いた。
からだの水分が、全部流れ出るくらい。
そして顔は、パンパンに張れ上がった。
「お嬢様、簡単には、腫れが引きそうもありませんね」
朝から、ララが何度も冷水でタオルを絞り、目に当てて冷やしいてくれるが、なかなか腫れはひかない。
「こんな顔じゃ、今日は学校に行けないな~」
「お嬢様、水を変えてきますね」
ララが、搾ったタオルを私の目の上に置いて、部屋を出て行った。
冷えたタオルの下で、目を閉じる。
「せめて、気持ちくらい伝えたかったな~」
誰かの足音……ん?
なんだか、さわやかないい匂い……ブルースターの香りかしら。
「どんな気持ちを、伝えたかったの?」
暖かな手が頬に触れて、今度は、ベルガモットの香りがふわりとした。
驚いてタオルを握り、勢いよく起き上がると、ブルースターとカスミソウの花束に、顔が突っ込んだ。
「ふがぁ」
目線を上げると、そこにはカイル様がいる。
「やあ。俺のかわいい迷子さん?どうしてそんなに、目が腫れているの?」
「キャー見ないでください。不細工だから」
私は、慌てて両手で顔を覆う。
どうしてここに、カイル様!
指の隙間から、もう一度カイル様を確認する。
「目が腫れてても、かわいいよ、どうしてそんなに泣いたの?」
「だってカイル様に、好きな人がいるって聞いて……。」
カイル様が、私の隣に腰を掛ける。
「ふふ。俺の好きな人は、ココナって言う、直ぐに迷子になる、目の離せない子なんだ」
「そうなんですね……ん! ココナ? …… 私?」
「そうだよ。商業街で、迷子なのに、ニコニコわらって、キラキラ目を輝かせて、街を歩く女の子に、僕は心を奪われたんだ、転んだあの日も、見守るだけにしようと思っていたが、話しかけたら、自分を止められなかった」
私の張れた目から、また涙がこぼれる。
カイル様は、そっと私の涙を拭う。
「俺の隣に、いてくれないか?」
「はい、こちらこそお願いします」
私は、思いきり頭を下げて、もう一度花束に突っ込んだ。
周囲に、沢山の拍手が起こる。
あれ?
腫れて細くなった目で、周りを見渡すと、伯爵家の皆にゼイン様、ソフィア様、デービッド様の顔。
「キャー。みんな、不細工だから見ないで」
✿ ✿ ✿
そのあと、4家で話し合いが持たれ、ソフィア様とデービッド様の婚約と、カイル様と私の婚約が決った。
みんな、まるっとハッピーだ。
カイル様は、バクト商会の仕事を手伝いながら、ロンファム伯爵領の、畜産を商品化するため、お父様と開発を進めながら、伯爵家の仕事も学んでいる。
「ココナ。俺から離れたらだめだよ」
そして今は、カイル様と必ず手をつないで歩くから、迷子にはならなくなりました。
~ 終わり ~
(#^^#)一生付き合える友達もできました




