勘違い
どん。
「きゃっ」
うっかり、背の高い男の人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
謝ろうと相手を見上げると、私好みのハンサム顔。スタイルも良い。スーツも決まってる。
私が、どきどきしていると彼は「結婚しよう」と言った。
人違い? 後ろを振り向いたけど、誰もいない。
『あ、コイツ。やべえ』
私は、くるりと踵を返し一目散に逃げ出した。
※
アパートの扉の前で深呼吸する。
それにしても良い男だった。あんな人が彼氏だったら嬉しいのに。しかし、いきなりなんだ? 結婚しようなんて。そんなバカな話あるわけないじゃない。
私がアパートの扉をあけると、中には私が立っていた。
「おかえり。チヨコ。私はあなた。未来のチヨコよ」
は?
「驚かないでね。」
もう、驚いてるよ。
「あなたは明日、運命の人からプロポーズされます。とても、あなた好みのハンサムよ。高身長でスタイルも良し。未来のマッチングアプリは過去に干渉できるのよ。苦労したんだから。感謝しなさいよ」
恩着せがましいな。確かに私に違いない。しかし、全て合点がいった。
「ねえ、未来のチヨコ? 今日は何日か知ってる?」
「2月1日でしょ?」
「2月2日よ」
未来のチヨコは、落胆しオデコに手をあて天を仰いだが、すぐに気を取り直した。
「まあ、いいや。次はうまくやってよ。今度は日付を間違えないでよね」
そう言って、未来のチヨコはポワンと消えた。
なるほどね。今度は私が過去に戻って、もう一度私に予言を伝えればいいわけだ。いいじゃない。なんだか、わくわくしてきたわ。




