表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちのメイドはやりすぎるっっ!〜最強メイドたちは今日も力で事件を解決します〜  作者: 犬斗
第四章 レオリア・ルグリンデ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/37

第22話 罪と罰の釣り合い1

 今日のメイド課は全員派遣業務だ。

 俺は自席で書類仕事を進める。


 すると、アリッサさんが書類を持ってきた。


「オリハルト課長、緊急の依頼です」

「緊急ですか?」

「はい。第二街区のホテルからの依頼です」

「ホテル?」

「こちらが依頼書です」


 アリッサさんから依頼書を受け取った。


 メイド課の派遣は個人宅が多いが、企業からの依頼も受け付けている。

 しかし、依頼自体はほとんどない。

 企業が単発でメイドを依頼する意味がないからだ。

 清掃などは自社の従業員が行ったり、清掃業者を雇うほうがコスト面からも現実的だろう。


「この日はパーティーが重なったことで、ホテルの従業員だけでは足りないそうです。しかも顧客からは、女性を用意するようにと注文が入っているそうです」

「女性? それって接待も含まれるってことですか?」

「そういうわけではありませんが、顧客は期待しているかもしれませんね」

「そうですか……。もしかして、自社の従業員を守るために、メイド課へ依頼してきた可能性も?」

「なきにしもあらず、ですね」


 アリッサさんは左手で薄ピンク色の髪を耳にかけながら、右手に持つバインダーを見つめている。

 バインダーに挟まっているのは、メイド課のスケジュール表だ。


「スケジュールを調整できるのは、レオリアちゃんです」

「レオリアですか。彼女で大丈夫でしょうか?」

「むしろ、彼女が適任でしょう」

「いや、その……。レオリアの仕事は完璧ですが……」

「だからですよ。ふふ」


 優しい微笑みを見せるアリッサさん。

 俺が懸念する事柄は、アリッサさんにとっては安心の材料のようだ。


 レオリアはとても優秀なのだが、非効率を嫌う。

 女性の接待を期待している客であれば、トラブルになりかねない。

 もちろん、メイド課の業務は接待や接客ではないため、レオリアの行動は問題ないのだが、顧客との揉め事は避けたい。


「緊急依頼ですと料金は通常よりも割高ですが、その点は問題ありませんか?」

「はい。ご承諾いただいております」

「分かりました」


 その後もアリッサさんと依頼について協議して、正式に受注を決定した。


 ――


「ただいま」


 夕焼けを迎える頃、レオリアが派遣からメイド課に帰還した。


「レオリア、仕事の依頼が来たよ」

「ミーティングルームへ入ってる」

「ああ、ありがとう。俺もすぐに行くよ」


 帰還したばかりのレオリアは、すぐにミーティングルームへ入った。

 俺も書類を用意して席を立つ。


 ミーティングルームに入ると、レオリアは姿勢よく着席して瞳を閉じていた。

 まるで瞑想しているようだ。


 レオリアは長袖のメイド服を着用している。

 色は黒を基調としており、襟とカフス、スカート裾のフリルが白い。

 白いエプロンは、胸からスカートの裾までと長いタイプだ。

 スカートの長さは膝丈で、黒いタイツを履いている。

 そして、膝下は黒い革製のロングブーツだ。

 特徴的なロングブーツは、編み上げで特注品と聞いた。


 レオリアの身長は俺とほぼ同じくらいで、女性としては高身長だ。

 何より恐ろしく足が長い。

 レオリアは、その長い足を最大限活用する。

 つまり蹴りが得意だ。


 メイドなのになぜ蹴りが得意なのか。

 俺にはさっぱり分からない。


「疲れているところ申し訳ないね」

「問題ない」


 切れ長の瞳がゆっくりと開く。

 美しく輝く紅い瞳が、俺を捉えた。

 レオリアは、メイド課で唯一俺と同い年だ。


 窓から入る夕方の涼しい風で、レオリアの黒髪が優雅に揺れる。

 光沢が非常に美しい黒髪は、まるで夜の清流のようだ。

 前髪は眉下でまっすぐカットされている。


 髪の色とは対象的な白い肌。

 切れ長の紅い瞳、長いまつ毛、筋の通った鼻筋、薄い唇。

 レオリアもまた恐ろしいほどの美人だ。

 だからこそ、俺は今回の派遣で心配が尽きない。


「ホテルの給仕スタッフなんだ。大きなパーティーが入ってるようで、この日だけ人が足りないそうだ」

「なるほど。問題ない」

「先方のホテルが言うには、パーティーの顧客は女性の担当を要望している。つまり、女性の接待を希望しているようなんだ」

「その点も問題ない」


 レオリアは表情を変えずに即答した。

 その後、仕事の詳細を伝えると、レオリアはすぐに席を立つ。


「全て課長に任せる。では」


 レオリアが俺に背を向け、ミーティングルームを出ていった。


「本当に用件人間なんだから……。まあ、レオリアなら仕事も完璧だし、容姿もこれ以上ない。トラブルさえ起こさなければいいけど」


 レオリアは、何事も効率的に最短で用件を済ますため、異常なほど仕事が早い。

 一を言えば十を理解するし、必要以上の会話を交わすこともない。

 それゆえに、トラブルに発展することもある。


 俺はレオリアが出ていった扉を見つめた。


「まあ、さすがに大丈夫か」


 書類に視線を落とし、受領の書類にサインした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ