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ACシルクのクラブカラー決定!

「今日は休みにしましょう。」

朝食をとりおわり、ナンシーが淹れたコーヒーを飲んでいるとレベッカが草太とサブリナに宣言した。

草太はサブリナに「休み?ACシルクが法人化してまだ3日間しか経ってないよ。」と聞く。

「副理事として恋人として、理事の草太の健康管理も大切だと思うの。草太は昨日までヨンソンさんの事務所で働いて、今までろくに休みがなかったでしょ?もう事務所は辞めたんだし、少し休んでもいいと思うの。」

ここしばらく休みなしに働いてきた草太は昨日、ヨンソン司法書士事務所を辞め、今日からACシルクの経営一本に集中しようと思っていたので、いきなりレベッカから休みを打診されるとは思ってもいなかった。

だが、レベッカは草太の健康を心配して提案をしている。

「分かったよ。今日は営業をしない。ただ、平日の今日に何もしないというのも……。何か考えたいな。」

そこでサブリナが割って入る。

「ソウタさん、レベッカ先輩。ACシルクはまだクラブカラーもエンブレムも決まってませんよね?ソウタさんが完全にオフにするのが嫌ならクラブカラーを考えませんか?」

草太はハッと気づいた。

転生前の日本ではN1『FCキャピタル』のサポーターであり、その時のサポーターとしての知識を頼りにクラブ理念を作ってはいたが、最近は経営のことばかりを考えてサッカークラブの根幹となるクラブカラーのことをすっかり忘れていた。

草太はサブリナの意見に同意する。

「うん。そうだね。今日はそれを決めようか」


食器を片付けたあと、サブリナは折り紙を持ってきた。

「これがあるとイメージがつきやすいと思います!」

するとレベッカがサブリナを褒めた。

「やるじゃない!そういう細かい気を使えるところが営業として大切なのよ。」

サブリナはレベッカに褒められて若干ニヤつくが問題に戻した。

「ソウタさん、シルク村は漁業が主要産業です。海を想像させる青色はどうですか?」

サブリナは青色の折り紙を1枚、テーブルの中央に置いた。

「青色……かぁ。」

確かに、青色は無難である。

日本でも青色をクラブカラーとしているクラブはいくつかあるし、無難と言えば無難だ。

「でも、青色1色だと他のクラブと差が出ないんじゃかな?」

するとレベッカが一冊の本をカバンから取り出した。

「これがアウロラ王国のサッカーリーグ『リーグ・アウロラ1』の選手名鑑よ。バンガ町で買ってきたわ」

『リーグ・アウロラ1』はアウロラ王国のプロサッカー1部リーグだ。

草太はペラペラと中身を見るが、2つの感想を持った。

(やはり、首都圏やそれ以外にも都市圏のクラブが多いな。そして青色をベースにしたクラブもそこそこある。)

「サブリナの青を使う案はいいと思うんだ。でも何かひとつ足りないと思う。青一色だと他のクラブに埋もれてしまうと思うんだ。例えば他の色を加えてもいいと思う。」

サブリナは選手名鑑を見ながら「他の色を……ですか?たしかに2色以上のユニフォームは1部リーグのクラブにはないですね」

そう、『リーグ・アウロラ1』には青のみ、赤のみ、緑のみと言った1色でしかユニフォームとクラブエンブレムが作られていなかった。

「うちでは、2色を使おう。ベースはサブリナ案の海から来た青色を使うとして……」

するとレベッカはピンクの折り紙を差し出し、ささやく。

「ねぇ。ソウタ。ソウタは、ピンク……好きよね」

レベッカは草太が個人的に好きなピンク色の折り紙を出してきた。

青とピンクの折り紙を組み合わせると、鮮やかな色の対比に一瞬目が奪われた。

確かにお互いが映える組み合わせである。

サブリナはレベッカが買ってきた選手名鑑をパラパラとめくり、他のクラブカラー見る。

「確かにピンクはないですね。個性的で青とピンクの組み合わせ、可愛いと思います!」

「ピンクかぁ」

個人的には黄色がいいと思っていた草太であったが、青と黄色の組み合わせのクラブは日本にもあり、若干そこが気になっていた。

あくまでアウロラ王国は異世界なので気にする必要もないのではあるが。

そして日本ではピンクをクラブカラーとするクラブが1つある。

何も男子チームがピンクを使って悪いということはない。

さらにレベッカは話を続ける。

「ピンクをつけることで女子層を取り込むこともできると思うわ。ピンクのかわいいグッズとかウケると思う。」

それにサブリナは賛同する。

「そうですね!ピンクのタオルやハンカチなんて普段遣いにもいいですね!将来のグッズ展開いろいろ考えられますね!」

草太としても、将来のグッズ展開や女性層の取り込みは必須だと考え、決断した。

「よし!クラブカラーは青を主体として、アクセントにピンクを組み合わせよう!例えばこんなのはどうだろう?」

草太はピンクの折り紙をハサミで縦に切り、正方形の青色の折り紙の上に長方形のピンクの折り紙を重ね合わせた。

青色の折り紙にピンクのラインが入ったような形だ。

「いいじゃない!ソウタ!」

「すてきだと思います!」

2人とも草太の意見に賛同した。

こうしてACシルクのクラブカラーはレベッカとサブリナ主導で青とピンクに決定した。

(青とピンクの組み合わせ、アウロラ王国はもとより、地球だってそんなにないと思うぞ。さすがレベッカとサブリナだ。)


するとこの会議の様子を見ていたナンシーが口を挟んできた。

「あらあら。男の人が女の意見に従って会社の色を決めるなんて、都会でも珍しいと思うよ。」

この異世界の文明は地球で言うと19世紀レベルだ。

このような感想を年配者のナンシーが口にするのは別に不思議ではない。

「ナンシーさん、僕はこのACシルクを通じてこのシルク村を発展させたいんです。」

草太はにこやかにナンシーへその理由を答えた。


こうしてこの日の午前は終わったのであった。

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