【番外編】真夏の短編エピソード・レベッカと呪いの藁人形
「ソウタ、ソウタぁ」
昨日見た喫茶店での出来事。
営業帰りとはいえ、草太はサブリナとお茶を飲んでいたことに嫉妬を覚えていた。
しかも、草太は楽しげにサブリナとひとつの巨大なガラスコップに2つのストローを差し込み、2人同時に飲んでいた。
レベッカはベッドの上で涙を流す。
「私、ソウタがいないと何もできない女なのよぉ。
ソウタぁ。わかってるの。あなたに浮ついた心なんてないこと……
そうよね。サブリナが誘ったのね。
制裁しなきゃ。サブリナに。」
サブリナが不在の間に、レベッカはサブリナの部屋に入った。
サブリナの部屋には甘いアロマキャンドルの残り香が鼻にまとわりつく。そんなことはレベッカは気にせずに、鏡面台の前に置かれていた櫛から、サブリナの髪の毛を一本手に入れた。
それを藁人形に差し込む。
「サブリナ……。私のかわいい後輩。
でも、ごめんね。あなたは一線を越えたの。」
そこにガチャリ、とドアが開きサブリナが現れた。
「先輩?私の部屋で何をしているのです?」
サブリナの言葉にレベッカはニヤリと口角を上げた。
「なにって……。こうするのよ。」
レベッカは藁人形の両手を上げた。
するとサブリナ本人の両手も勝手に上がる。
「い、いや!なんです?これ!?」
レベッカは目を細めて笑いながら説明をした。
「これはソウタの国の呪いの人形よ。もうあなたは私から逃げられない」
「そんな、私が何をしたと言うんですか?」
すると、レベッカは大げさにサブリナの顔に鼻を近づけ、スンスンとサブリナの匂いを嗅いで見せた。
「匂いがするわね。
私が愛する男を奪おうとする……
泥棒猫の匂いがね!」
☆☆☆
「と、いう夢を見たのよ。」
レベッカはランチを草太とサブリナと一緒に食べながら話した。
草太は驚く。
「いやいや、怖すぎだろ!確かに『呪いの藁人形』は俺の国の怪談だけどさ!」
サブリナも青ざめている。
「ほんと怖いですよ!私が先輩の彼氏に手を出すわけないじゃないですか!」
レベッカは笑いながら「本当に変な夢を見ちゃったわ。さ、今からまた営業に行きましょ!」
そうしてレベッカは席を立った。
しかし、草太は見てしまった。
レベッカのカバンから藁屑が数本はみ出ていることを。
【真夏の短編エピソード 終わり】




