第七章「ツッコミ封印令」
第七章「ツッコミ封印令」
──数日後。ギルド本部・掲示板前。
ギルド生たちがざわついている。
貼り出された一枚の通達が、世界を揺るがしていた。
アデル
「《王国法令 第777号:ツッコミ行為の一時禁止》……って、えぇぇぇ!? ツッコミ禁止!? 何考えてんの国ぃ!!」
ハルキ
「もう終わりだよこの国!! 法でボケ放題とか地獄か!!」
ピンク熊
「ツッコミ行為は“精神的暴力”に該当する可能性があるとのことです」
ハルキ
「暴力じゃなくて治療なんだよ!? ツッコミはボケのワクチンだぞ!?」
その瞬間、ギルドの外に魔導スピーカーの音声が響く。
王国広報官
「全国民へ告ぐ。本日より、ツッコミ行為は禁忌とする。違反者は“再教育施設”に収容される」
ハルキ
「こっわ!! なんか急にディストピア感きたぞ!!」
*
──街は、変わっていた。
誰もがボケにツッコめない。
見て見ぬふりでスルーするか、笑って受け流すだけ。
結果、日常は混沌に沈んでいった。
・通行人が牛に乗って登校。
・配達員がフリースタイルラップで郵便配達。
・野菜が自己紹介する。
ハルキ
「止められねぇッ!! ボケが暴走しっぱなしだ!!」
アデル
「町中が、バラエティ番組の悪夢回みたいになってます……!」
ピンク熊
「……これは“奴”の仕業かもしれません」
ハルキ
「奴って誰だよ、ラスボス感出してんじゃねぇよ」
ピンク熊
「ボケ魔王直属・最終兵器──その名も、《ツッコミブレイカー・ノンセンスゼロ》」
ハルキ
「もう名前だけで全部説明すんなって言っただろ!!」
*
──その夜。ギルドに、1本の映像が届く。
映像の中には、黒い仮面の男。背後に笑い声の幻影。
そして、背中に光り輝く《ツッコミ封印装置》が浮いていた。
ノンセンスゼロ
「“常識”とは、言葉の枷だ。我はそれを壊す者。お前のツッコミ力を、世界から消去する」
ハルキ
「いやもうなんか、思想が厨二の方向に振り切れてるんだけど!?」
ノンセンスゼロ
「君のツッコミは……今日で終わる」
そして画面がブラックアウト。
直後、ギルドの床下から巨大な機械が起動し──
“ツッコミ封印装置”が発動!
木札が激しく点滅し、ハルキの口が強制的に閉じられる!
ハルキ
「んんんっ!!(くっそ、ツッコめねぇ!!)」
アデル
「ハルキさんが静かになると、世界が余計おかしくなるんですぅぅ!!」
すると、ピンク熊が静かに言う。
ピンク熊
「……禁じられたツッコミには、禁じられた解放方法がある。“ボケを心で否定し、魂で叫べ”」
ハルキ
(まさか……“ツッコミ・インナーボイス”!?)
脳内で、自分自身にツッコミを返す。
その瞬間──
“内面ツッコミモード”発動!
──ツッコミは、言葉じゃない。魂だ。
ハルキ
「“ボケ規制解除アンチノンセンス!!”」
身体中に常識の力が炸裂。封印装置がクラッシュし、爆発四散!
そして、突如現れたノンセンスゼロ。
背中の笑い声を連れて、ハルキに向かって静かに言う。
ノンセンスゼロ
「来い、“最後のツッコミ”。お前と私、どちらの言葉が世界を変えるのか──試してみよう」
ハルキ
「……言っておくけどな。俺は、
“黙ってる方がストレス溜まるタイプ”なんだよ!!!」
二人の言葉がぶつかる。
世界の理が、常識とボケで引き裂かれる!
*
次回――
第八章「言葉の決闘デュエル・オブ・センス」
常識 vs 無秩序。
魂で殴り合う、最終言語戦争、開幕!