表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第六章「存在しないボケが笑っている」


──夜。ツッコミギルド「常識の楯」・作戦室。


地図に並ぶ赤い点。それは各地で確認された“高濃度ボケエネルギー”の発生地点。

そして、その中心にある一つの地点──“存在しない村”。


アデル

「ハルキさん、次の目的地は“ナニモナイ村”です!」


ハルキ

「名前からして情報ゼロなんだけど!? 村に“ない”って言っちゃってるじゃん!?」


ギルドマスター(ピンク熊)

「この村、地図にはあるのに誰も行ったことがない。しかも、そこから“ツッコミ不能”の波動が観測されている」


ハルキ

「“ツッコミ不能”ってなんだよ!? そんなの、この世界では最大級の脅威だろ!!」


アデル

「もしかして、“無言のボケ”が……」


ハルキ

「無言でボケるとか、最悪だよ!? ツッコむ相手すら見えないってどうすりゃいいんだよ!!」



──翌日。ナニモナイ村の前。


ハルキとアデルが立っていたが、そこには“何も”なかった。


アデル

「……何も、ないですね」


ハルキ

「マジでなにもねぇーーー!! ちょっと看板とか、空き地とか、せめて痕跡くれよ!!」


しかし次の瞬間、空間が“ズレる”。


ハルキの視界が、ギュンと引き伸ばされ──


“何かに見られている”感覚。


ハルキ

(なんだ……!? 空間が……妙に、静かだ……)


アデル

「来ます……! “概念型ボケ”です!!」


空間に、ぽつんと浮かび上がる“笑い声の記号”。


「w」


ハルキ

「うわっ!? 文字だけ!? ボケが抽象画になってんだけど!!」


そして、その“w”が空中で膨れ上がる。

「www」→「wwwwwwwwwwwwww」


アデル

「きゃっ!! 笑いの波動が脳に直接ッ……! 意識が、揺らされ……!」


ハルキ

「ダメだこりゃ!! こんなの、“存在”がボケてるだけじゃねぇ、世界そのものが“草”になりかけてる!!」


木札が青く光る。


謎の声(静かに)

「この敵に有効な技はただ一つ。“無言ツッコミ”──思考そのものをツッコミに変える力」


ハルキ

(まさかの、沈黙で戦えってのか!? でも──)


目を閉じ、深く息を吸う。

次の瞬間、ハルキの目が鋭く光る。


──思考の中のツッコミ、炸裂。


「“w”が多けりゃ笑いになると思うなよ!!

 内容ゼロで笑わせようとすんな!!

 中身をくれ、中身を!!」


その“念ツッコミ”が、“草”を焼き払うように空間に浸透していく。


空間がねじれ、そして──

ボケが“声”を発した。


???

「……お前、見えるのか」


ハルキ

「今はな。お前が“黙って笑わせた気”になった瞬間から、な」


ゆっくりと姿を現す影──

それは、人のようで人でない、“笑いの亡霊”。


かつて大量のボケを一人で担い、ツッコミ不在のまま過剰消費され、

存在が“ギャグそのもの”になった哀しき者。


???

「俺は……“ノータイトル”……。名前を得る前に、笑いで崩れた……」


ハルキ

「……笑いの犠牲者ってわけか。

 でもな、“笑い”ってのは、ちゃんと“受け手”がいてこそなんだよ。

 一人で完結するもんじゃねぇ」


静かに、手を掲げる。


ハルキ

「いくぞ──“共感型ツッコミ・ラストライン”!!」


空間を真っ二つに裂くようなツッコミが炸裂。

それは“無言の笑い”の芯を突き──


ノータイトル

「……ありがとう。やっと、“誰かに拾われた”気がする」


彼の姿が、風に溶けて消えていった。


ハルキ

(……なんだよ……意外と、哀しいじゃねぇか)


アデル(涙目)

「笑いって……こんなに、深かったんですね……」


ハルキ

「いやお前らがボケすぎなんだよ!!」



そして夜。ギルドに帰ったハルキの前に、一枚の封筒が届く。


──宛名は、「常識の使徒へ」。

差出人は、「ボケ魔王直属・最終兵器」。


次なる戦いの扉が、音を立てて開かれる──



---


次回――

第七章「ツッコミ封印令」


世界に広がる、ボケの統制。

ツッコミが禁止された時、常識は沈黙する。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ