表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第二章︰ボケは剣より強し


ハルキ(心の声)

(この世界……全体的におかしい。魔法? 剣? 勇者? そんなのより──ツッコミだ。ボケが蔓延しすぎて、常識が死んでる!)


謎の声(頭の中に響く)

「――汝、選ばれし常識の使徒よ。『ツッコミ』という名の剣を掲げ、混沌を正せ。」


ハルキ

「うるせぇ!!」


突如、光に包まれるハルキ。

次の瞬間、彼の手には「ツッコミ職登録証」と書かれた木札が握られていた。


ハルキ

「……なにこれ。」


木札の裏には、ひとつの場所が示されていた。


“ツッコミギルド『常識の楯』──街はずれ、ピンクの建物が目印”


ハルキ

(こいつら、ギャグに対する罪悪感ってもんがねぇのか!?)


彼は歩き出した。

ここが異世界なら、俺が非常識をぶっ叩いてやる。


……ツッコミで。



陽が傾きかけた異世界の街。

建物の一つが、場違いなほど派手に輝いていた。


ピンク色の壁、やたらかわいいハートの看板。


その名も「ツッコミギルド・常識の楯」。


ハルキ

「いや、どう見てもキャバクラだろコレ!!」


建物の中からは、ハードなシンセ音とともに「ツッコミ最高!」という謎の合唱が聞こえてくる。


ハルキ

(……頼むから、これが“普通”だって言わないでくれよな)


扉を開けると、そこには──



――異世界、ツッコミ職ギルド・「常識のシールド・オブ・コモンセンス」。


ピンク色のクマの着ぐるみが机で事務作業している、謎の光景だった。


ハルキ

(ギルドって、もっと…こう、木の机と酒の臭いと、謎の依頼書が山積みの…みたいな雰囲気じゃないのか!?)

(なにこのピンク熊!? 目がうつろで怖いんだけど!?)


ピンク熊(淡々と)

「新規登録ですね。種族と職業、あと昨日の晩ご飯を教えてください。」


ハルキ

「え? いや、そこは“名前と年齢”じゃないの? あと晩ご飯いらなくない!?」


ピンク熊

「晩ご飯が魚だった方には魚族専用特典があります。」


ハルキ

「魚族!? 魚、食べたらアウトなの!? 共食い!? ってか俺、人間! 職業は……ツッコミ、らしい……。」


ピンク熊

「はい、確認しました。あなたは“世界最後の常識人”であり、ボケ耐性Sランク。おめでとうございます。」


ハルキ

「褒められてるのに全然嬉しくねぇ!」



数分後、ハルキはギルドの奥へと案内された。


案内人は、アデルという少女。

年の頃は14~15歳、見た目は清楚な修道女風だが……


アデル

「お兄さん、ツッコミ職ってすごいですよね! だって、ボケと戦って一発ギャグで世界を救うんですもん!」


ハルキ

「どんな誤解!? ギャグじゃなくてツッコミ! それにギャグで救うの、ボケ側の役目じゃないのか!?」


アデル(にこにこ)

「えへへ、お兄さん、ツッコミうまいですね~。私、そういう男の人……好きです!」


ハルキ

(なんかもう、俺の人生がボケに包囲されてる気がする……)


その後、アデルの案内で「ツッコミ試練場」へ。


そこでは、ツッコミ職の能力を磨くための模擬戦が行われていた。

が、その訓練相手が……どう見ても「全身タイツでフラメンコを踊るおじさん」だった。


ハルキ

「……これは、何の訓練?」


アデル

「“反射的ツッコミ反応”の鍛錬です!このおじさんの行動に即ツッコミできないと、世界が滅びます!」


ハルキ

「いやもう滅びていいよこの世界!」


そして始まる訓練。

だがその最中──


突如、ギルドの天井を破って、黒い渦が現れる。


その中心から現れたのは、“ボケ魔将軍・バカデカハット卿”。


帽子がデカい。それだけで既にツッコミ対象。


バカデカハット卿

「名を聞いて驚け! 我が名は──バカデカハット卿! 我が帽子こそ、ボケの象徴なり!」


ハルキ

「名前で説明しちゃったよ!? そして帽子でかすぎてドア通れないのお前だけだろ!!」


彼の出現に、アデルが震える。


アデル

「ハルキさん、彼はボケ魔王軍の幹部……ギルドを潰しに来たんです!」


ハルキ

「ちょっと待てよ!? 世界観、急に進行したな!? ボケってそんなに脅威なの!? そして何よりこの状況を俺が全部拾うのかよ!?」


次回――


第三章「帽子は語る、世界のボケを」


ツッコミが世界を救う。

そして、そのツッコミは──休む暇がない!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ