ニクカタメアブラオオメのショウでお願いします。
※これは意味が分かると怖い話です。
後書きにて解説っぽいヒントがあります。
「さて、今日もラーメンを食べに行くか。」
俺は意気揚々といつも食べに行くラーメン屋に行くことにした。
いつもと言っても週一しか行かないが、同じ時間、同じラーメンを頼む生活を一年間繰り返していたら店主に顔を覚えられてしまった。
今では連絡先すら交換するほどの大親友となってしまった。
他のラーメンを食べることもたまにあるが、どうにも俺の口にはあの店のラーメンしか合わないようで大体一回行ったきりでやめてしまう。
あの店のラーメンにはそれだけ俺を引き付ける魅力があるのだ。
そう考えているうちに店に着いた。 時間もいつも通りだ。
「おお!待ってたぞ!」
店に入ると店主が元気よく出迎えてくれた。
店内にはお客さんが二人くらいだろうか。 いつも通り混んではいない。
味が悪いわけではないが出てくるラーメンがまぁ......といったところだ。
「それじゃあ、いつもので。」
俺はそう伝える。 店主は「はいよ!」と元気よく作り始めた。
ここの店は店主一人で経営しているが提供時間はかなり早い。
スマホで漫画でも見ようと思ったが、もうできてしまった。
「醤油ラーメンお待ち!」
そう言って俺の前に置かれる。
これが俺が最も好きなラーメンである醤油ラーメンだ。
他にも味噌と塩があるが醤油が一番旨い。 ちなみに値段はどれも五百円とかなり安い。
早速一口すすってみる。口に入れ飲み込んだ瞬間、素朴な味が体中に染みわたる。
これだ......!この味が俺に活力を与えてくれる。
食べ始めたらもう止まらない。俺は火傷を臆することなく食べ進める。
いくら食べても旨いし飽きない。
ならなぜ繁盛しないのか。 それは素朴すぎるのが原因だと俺は思う。
具材は海苔とメンマと煮卵で最低限だ。 スープも何かが入っている様子もない。
本当に素朴なのだ。 素朴すぎてパンチがない。
このラーメンは若者受けではないなと思う。だがそれが俺にとっては旨いラーメンなのだ。
ものの五分で食べ終わってしまった。 これもいつも通りだ。
「旨かった」と言い俺は五百円を置いて店を出る。
後ろから「ありがとうございました!」と元気な声が聞こえる。
元気の良さもここの店のいいところだと思う。
この元気があるからまた行きたくなるのだ。
一週間が経過した。 またあの店に行く時が来た。
いつも通りの時間にあの店に着いたが、なんと行列ができている。
しかも若者からお年寄りまで皆楽しみで待ちきれないという顔をしていた。
列を見るに二時間は待たないといけないだろうか。
いつも通りじゃなくなってしまったが、ここのラーメンを食べずに帰るなんてことはできない。 大人しく並ぶことにした。
一人......また一人と店を出る客を見ると、何だか様子がおかしかった。
興奮冷めやらぬといった感じなのだ。 なんだか不安になってくる。
「おっ!いらっしゃい!」二時間待ってやっと入店できたところで店主に元気よく挨拶された。 店内はサウナのように熱く、少し眩暈がした。
「いつものでいいかい?」と店主に聞かれたので「それでいいよ。」と答えた。
それにしてもこの混み具合はどうしたのだろうか。
新メニューでもできたのだろうか。
「それじゃあオーダー聞いてくぜ!」突然店主はそう言い始めた。
「ニクヤワラカメアブラスクナメのチュウで。」
「ニクフツウアブラオオメのダイで。」
「ニクオオメアブラオオメのチュウで。」
客は順番に答えていく。 俺からするとまるで呪文のように聞こえた。
いったい何を伝えているのか気になっていると手元にメニューがあることに気が付いた。
メニュー一覧
・醤油ラーメン 五百円
・味噌ラーメン 五百円
・塩ラーメン 五百円
・コール ニク(ヤワラカメ、フツウ、カタメ)
アブラ(スクナメ、フツウ、オオメ)
ショウ 三万円 チュウ 五万円 ダイ 十万円
そう書かれていた。 俺は目を疑った。
値段の桁が違いすぎる。 一杯三万円からだと? ぼったくりにもほどがあるだろう。
だが、俺以外の客は全員コールを頼んでいるようだった。
そして来たラーメンを血走った目で食べ進める。
俺はその光景に恐怖すら覚えた。
なぜラーメンに万単位の金が払えるのだろうか。 それに客はなぜ納得しているのだろうか。
「へいお待ち!」そう言って俺の前にいつものラーメンが来た。
少し食べるのを躊躇してしまう。 俺もほかの客と同じようになってしまうのではないかと考えてしまう。
「安心しろよ。そのラーメンは普通だぜ。」店主はそう言って俺に笑いかけた。
その言い方だとほかの客が食べているラーメンは普通じゃないと言っているようなものだと思うが......
だが提供されたなら食べるしかない。
俺は意を決してそのラーメンを食べた。 ......味はいつも通りだ。
いつもと変わらず旨い。 俺は少しほっとした。
店が混んでいることもあり、俺はすぐに食べてお会計を済ませ店を出た。
外に出ると行列は終わることなく続いていた。
ここまで繁盛してしまうと気軽に来れなくなってしまうな。
そう考えると悲しくなってしまうが、仕方ないと切り替え俺は帰ることにした。
あれから二週間後の話になる。
なんと、あの店は潰れてしまったらしい。
どうやら異物が混入していたことが発覚したらしい。
やはりあのコールと言うラーメンが原因だったのだろうか......
ショウ......チュウ......ダイ......
「まさか......!?」 俺はその真実に気づいてしまった。
そしてあの時コールを食べなくてよかったと心底安堵したのだった。
解説っぽいヒント
・ショウ、チュウ、ダイにはそれぞれ同じ言葉が後ろにつきます。それは何でしょう?
それこそがラーメンの具材なんです。




