第44話 七人の集い
その頃、タツミとアレックスは月夜の都に着いていた。
「……ここ、すごい和風だね」
タツミは周囲の建物を眺めながら感想を口にした。
アレックスはノートを取り出し、返事を書こうとする。
かつてタツミから聞いた「日本」という国の風景を思い浮かべながら。
その時だった。
タツミが髪を結んでいた紐を外し、髪を下ろした瞬間。
ふと、視界に入ったものがあった。
下ろした髪の隙間から、二人の人物がレストランへ入っていくのが見えた。
タツミとアレックスは、外から様子を監視し始めた。
しかしアンダーの姿はない。
いるのは翔と我塁だけだった。
二人は店員に注文を頼み、
翔の前にはカレーが、我塁の前には鯖の定食が運ばれてきた。
二人が話をしている、その時だった。
突然、翔が消えた。
「————っ!」
タツミは目を疑った。
さっきまで目の前にいたのに。
瞬きする間に消えるなんて。
タツミとアレックスは戸惑い、レストランの中にいた我塁も驚いていた。
しかし我塁はすぐに状況を飲み込み、席を立った。
我塁はレストランを出て、教会へ向かう。
タツミとアレックスはその後を尾行した。
⸻
———翔が消える少し前。教会では。
アンダーは部屋まで連行され、目の前にはシスターが立っていた。
シスターは手を叩き、
「『メモリーテレーポーテーション』」
と唱える。
すると周囲に、何もない空間から六人の人物が現れた。
その中には翔の姿もあった。カレーの皿を持ったまま転移している。
すると一人が不満そうに言った。
「呼ばれたってことは、もう準備できているのか?」
シスターは彼女に答えた。
「いいえ、まだ準備中よ。呼んだのは別の理由」
そう言うと、全員の視線がアンダーへ向いた。
(……みんな、めっちゃこっちを見ている……)
他の者たちがアンダーを見ている中、翔はカレーを隣の人物に渡し、アンダーを二度見した。
ガッーン!
翔の頭の中に衝撃が走る。
沈黙の教会の絶対ルール。
——部外者を連れてこないこと。
翔の不安は顔にも出始めていた。
シスターが怒ると怖い。
翔はそろりと隣の人物の後ろに隠れた。
「もぐ……もぐ……ん?」
「何で……隠れているの、翔」
その言葉を聞いたシスターが、鋭い目で翔を睨んだ。
「お前か、翔」
呼ばれた翔は、女の子の後ろから出て、渋々前へ出た。
シスターは説明を求める。
翔は震えるのをやめ、はっきりと言った。
「……彼女だ!」
完全に自分勝手な答えだった。
それを聞いたシスターと他のメンバーたちは笑った。
しかしシスターはすぐに笑いを止め、翔を脚で蹴り飛ばした。
「————っゴボッ!」
翔は勢いよく吹き飛び、壁にぶつかった。
「君にはっきり言うわ。ルールを守れ……翔」
他のメンバーたちも、それぞれ一言ずつ言った。
黒いジャケットが特徴の女性。
「お前に彼女ができるわけねぇーよ」
露出の多い服を着たお姉さん。
「フッフフ、面白い冗談を」
食欲旺盛な女の子。
「……もぐもぐ……もっと食べ物ある?」
目のクマが特徴の男の子。
「……Zzzzz」
ツインテールの女の子。
「……自業自得ね」
アンダーは猿轡をされ、このカオスな状況を眺めていた。
「……」(何なんだよ、こいつら……)
翔は起き上がり、ホコリの付いた服を払った。
「いたた……まったく乱暴だな」
翔が立ち上がっている頃——
その頃、弟の我塁は。
我塁は会計を済ませ、レストランを出ていた。
タツミとアレックスは彼を尾行していた。
そしてついに、教会のアジトを発見する。
教会は都の近くの山に建っていた。
タツミはバッグを探り、ある物を取り出した。
それは転生者がよく知る物。
——スマホだった。
タツミはスマホを操作し、メリアに電話をかけた。
メリアのポケットにしまわれていたスマホが鳴り響く。




