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第41話 暗躍する沈黙の教会

パリィ回避兄弟は、沈黙の教会へと戻ってきていた。


我塁は樽を転がしながら、堂々と正面から入る。


「おいおい、何だその樽は」


見張りが怪訝な顔で問いかける。


「肉です」


「チッ……酒かと思ったのに。さっさと通れ」


「うっす」


何事もなく通過。


翔が小声で笑う。


「いやー、ラッキーだったな。酒場から盗ってきて正解だったぜ」


二人は部屋へ戻り、樽を横倒しにする。


蓋を開けると――


中にはアンダー。


猿轡を噛まされ、目をぐるぐると回している。

手足は縄で固く縛られていた。


「……んぅ……っ」


「兄貴、神父が集会するらしい。さっさと行こうぜ」


「ああ。……俺のマスク、どこに置いたか覚えてるか?」


「俺の貸すよ」


「おっ、サンキュー」


二人はマスクをつけ、部屋を出ていった。


扉が閉まる。


静寂。


やがて、アンダーの瞼がゆっくり開いた。


「……むぐっ……」


(縛られたか……)


彼女は身体をよじり、縄の隙間を探る。


きし……。


やがて、拘束が解けた。


(よし……!)


素早く部屋を見渡す。

動きにくいドレスを脱ぎ、クローゼットから男物の服と武器を拝借。


さらに奥からマスクとフードを取り出し、被る。


(これで……正体はバレない)


石造りの廊下へ出た。


奥から男が歩いてくる。


すれ違う瞬間――


「おい、お前。集会はそっちじゃないぞ」


一瞬、心臓が跳ねる。


「お、悪いな。忘れてたよ」


低い声で答える。


(やばい……震えるな……)


男は気さくに肩へ腕を回した。


「そんなに固くなるなよ。一緒に行こうぜ」


(やばい、連れていかれる……)



——一方その頃。


オリバーはメリアと話していた。


「回避とパリィの能力を持つ転生者……経験のある冒険者よ。正面からじゃ厄介ね」


「じゃあどうするの?」


「秘策はある。でも、その前にあなたが覚える魔法があるわ」


「どんな魔法?」


「風魔法。空中浮遊」


「あ、それならアンダーが……」


「なら話は早いわ。今すぐ習得するわよ」



——沈黙の教会、集会場。


怪しい者たちが円を描き、全員がマスクをつけている。


神父が前に立つ。


「諸君。我々の願望は、まもなく成就する」


ざわめき。


「長き年月、そして寛大なる“物資”の支援に感謝する」


歓声が爆発した。


「さすが神父だ!」

「このために生きてきた!」


だが――


アンダーだけが凍りつく。


(……何?)


(あの神父……口を動かしていない)


(なのに、どうして皆……?)


彼女の鼓動が早まる。


周囲と“空気”が違う。


その時。


神父が、ゆっくりと視線を向けた。


真っ直ぐ、アンダーへ。


周囲の全員が、同時に振り返る。


ざっ……。


背後から腕が絡みついた。


フードが剥がされる。

マスクが引きちぎられる。


「おいおい。どこへ行くつもりだ?」


「しまっ――離せ!」


気味の悪い笑い声が広がる。


ぐへへへへ……


無数の視線が、彼女に突き刺さった。

読んでくれてありがとうございます。

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