第37話 囚人狩り編 二人の兄弟
突然、アンダーたちの前に二人の人物が現れた。
「ッ……!」
黒と白の服を着た二人を見て、アンダーは反射的に身構える。
オリバーは、構えを取るべきか迷っていた。
魔法で支援するか、それとも自分のボロい槍で迎え撃つか。
二人の人物は、同じくボロい剣を構えていた。
アンダーは緊張しながらも、その剣を見つめ、声をかける。
「あんたたち……剣士のくせに、名乗りもしないのか?」
すると兄貴らしき人物が一歩前に出た。
「これは確かに失礼だな。俺の名は正須斗翔だ!!」
「それと、隣にいるのが俺の弟、我塁だ」
『そして俺たち兄弟は、皆が恐る……
パリィ回避兄弟だ!!!』
アンダーたち
「……………………」
アンダーは小さく呟く。
「ダッサ」
そう言い放つと、ナックルで一気に距離を詰めた。
翔は軽く身をかわし、我塁が剣で攻撃を受け止める。
鉄と鉄がぶつかり合い、
パッキーン!
という乾いた音が響いた。
我塁はすぐさま反撃し、アンダーの服を切り裂く。
——ッ!
アンダーは素早く後方へ下がった。
その瞬間、翔は我塁のそばに寄り、頭を叩いた。
——パシッ!
「痛っ!」
「何すんだよ兄貴」
「馬鹿野郎。こんな可愛い子に傷付いたらどうするんだよ」
我塁は、兄の行動に目を丸くする。
「えー……まさか、あの子に惚れたの?」
翔は頬を少し赤くしながら答えた。
「……あーいう子に惚れるよ」
アンダー、オリバー、タツミの表情が一斉に固まる。
一同
(ほ……惚れてた!!!)
「……よし、決めた。君へのお仕置きだ。
負けたら俺の彼女になること」
アンダーはさらに驚いた。
「ふぁッ!?」
怒りを拳に込め、アンダーは翔に殴りかかる。
だが翔は、その攻撃を次々と回避していく。
一方、我塁はオリバーとタツミに刃を向けた。
「兄貴、俺はこいつらの相手をする」
両者は同時に戦闘を開始した。
タツミはオリバーの後ろへ下がり、
オリバーは腕を前に突き出し、指をピストルの形にする。
「バン! バン! バン!」
炎の魔法が放たれるが、
我塁は剣で全てを防ぎきる。
オリバーとタツミ、我塁との攻防が始まった。
その頃、アンダーと翔は激しい打撃戦を繰り広げていた。
「なぁ、俺とデートしない?」
「しないわよ」
パッキーン、パッキーンと音が続く中、
アンダーは暴風強拳を放つ。
——避ける。
そう、彼女は思った。
翔は回避することで何らかの強化を得ている。
そして我塁は防御によって、同じ効果を受けている。
しかし——現実は違った。
彼女の予想とは、真逆のことが起こる。
『『『暴風強拳!』』』
拳が腹に命中する——
その直前、翔は剣でそれを弾いた。
パリィ。
剣がアンダーの手の甲を打ち、
鉄のナックルがわずかに凹む。
「——ック!?」
激痛が走った。
その瞬間を見て、オリバーは思わず気を取られる。
——隙。
我塁の肘が、オリバーの腹に突き刺さった。
「——グハッ!」
「だ、大丈夫!? オリバー!」
ちなみに
正須斗 翔と書いてジャスト カケルと読み、弟は我塁と書いてワルイと読みます。




