表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

グランドアリーナデシーザー編:予想外の勝利

試合に勝ったオリバーはレストランで食事をしようとしたが、疲れのあまり眠ってしまっていた。


——レストラン

「あれっ! オリバー寝ちゃったわね?」とメリア。


「……多分、薬の効果かな……」

タツミはカバンからハイパー回復薬のビンを取り出し、ラベルを読んだ。


注意:副作用として眠気・吐き気が出る場合がありますので、少しずつ飲むようにしてください。


(ごめん、オリバーくん……全部飲ませちゃったよ……)


オリバーは口からよだれを垂らしながら熟睡していた。

「Zzzzz……」


「って、めっちゃ熟睡してる‼︎」

メリアは思わずツッコんだ。


そんなやり取りをしているうちに、店員が料理を運んできた。

「わぁー、美味しそう!」とメリアが声を上げる。


タツミもおそるおそる手を合わせる。

「い、いっただきまーす……」


するとその瞬間、オリバーが目を覚ました。

「はっ! ……俺、寝てたのか?」


二人が食事を楽しんだあと、再び闘技場へと戻った。



実況者マキエナちゃんに次の試合を確認すると、なんとすでに決勝戦になっていた。


「マジか、もう次で決勝戦なのか……。

うおおおー緊張してきたな。バグラファイナルのカード大会以来だ!」


緊張するオリバーを見て、メリアが諭すように言った。

「落ち着きなさい。君はあの大会で優勝したのよ。だから今回も大丈夫」


「いや、優勝はしたけど……結構ギリギリだったんだぞ」


「や、やれますよ! 一戦突破できたじゃないですか!」とタツミもフォロー。

アレックスは無言でグッジョブのサインを見せ、さらに「大丈夫、やれる」と書かれたノートを掲げた。


「……そうだな」

オリバーは小さくうなずいた。


前世でも勝ち負けは散々経験してきた。やることは分かっている。

——今はただ、楽しみたい。


その時、マキエナちゃんの声が響いた。

「お待たせしました! ビギナークラス決勝戦を開始します!」


「右側にはオリバー選手! 左側にはコズモ選手!」

「今回の指定武器は鉄の棍棒です!」


二人は棍棒を手に取り、構えた。



コズモはギザギザの髪をした二十代の青年だった。

「よう! オリバー、正々堂々と戦おうぜ! 安心しろ、あんなクソ野郎みたいに騙したりしないさ。

ただ……俺には時間がない。このあとデートなんだ」


「(……なるほど、コイツは悪いやつじゃなさそうだ)」

オリバーは相手の言葉に少し安心した。

「わかった。でも俺を倒すのは難しいぞ!」


二人は激しく棍棒をぶつけ合う。

ガンッ! ガンッ! と闘技場に響き渡る音。


実況席からマキエナちゃんが叫ぶ。

「うおおおー! なんちゅー激しい打ち合いだぁー!」


両者同時に肩へ一撃を食らわせ合った。


「やるな!」とコズモは笑い、オリバーは息を切らしながらも応じる。



観客席では、メリアたちが声を張り上げて応援していた。

……ただし勇者ナタリアだけは横を向いて居眠りしていた。


両者は再び激突。

互いに相手の棍棒を奪おうとし、取っ組み合いになる。


「おっと! これはお互いの武器を奪い合いだ!」実況が盛り上がる。


「おいおい、俺の武器取るなよ!」

「いやいや、君こそ取るなって!」


二人が熱く叫んでいると——


「ゴーン、ゴーン」


昼の鐘が鳴り響いた。


その音を聞いた瞬間、コズモの動きが止まる。顔が青ざめていた。

「やべっ! 悪い! 本当はもっと戦いたかったけど……デートの時間なんだ!」


そう言ってコズモは武器を放り投げ、実況者に向かって降参を告げた。


「えっ……降参!? ……わかりました! これにより勝者、オリバー選手!」


オリバーが振り返ったとき、すでにコズモの姿はなかった。


「えぇぇぇ!? もういない! ……か、勝っちゃったよ……」


勝利には違いない。だがオリバーの胸には、どこかモヤモヤした感情が残っていた。

——本当は、全力の戦いで終わらせたかったのに。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ