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忘却の勇者は楽しく冒険したい  作者: ケロタコス
エルトード王国編

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第12話 楽しい遊びの後には

前回までのあらすじ


ゴブリンを退治したオリバーたちだったが、アレックスがいなければ命を落としていたかもしれなかった。


その後、彼らは村の宿に戻って休息をとり、部屋で軽い遊びを始めた。


プレイしていたのは「試練か真実」というゲーム。

オリバーはメリアから恥ずかしい質問をされそうになり、試練を選択。

その結果、イタリア人のようなおしゃべりな口調で話すという罰ゲームを受ける羽目に。

一方、タツミはまだ語尾に「にゃん」を付け続けていた。


⸻


メリア「そろそろ違うゲームをしよう。なんか飽きてきたわ」

オリバー「わっかる〜。その“王様ゲーム”ってのをやってみたーな!」(イタリア風)

タツミ「じゃあ、わ、私がルール説明するよ……にゃん?」


オリバー(マンマミーヤ……可愛い!)

効果は抜群だった。


王様ゲームを始めることになった一同。

タツミ「その前にアレックス、紙一枚くれる?」

アレックスはノートの紙を一枚破って渡す。


タツミはそれを細くちぎり、4枚に分けて準備を進める。

1枚には黒丸を、残りには数字を書き入れた。


タツミ「よーし、これでいこう!」

自信のないタツミにしては珍しく、堂々としていた。


※タツミ(陽キャたちがベンチューブでやってるの見て、一度やってみたかったんだ……!)


⸻


一同「王様だ〜れだっ!」

メリア「やった、私ね! じゃあ……2番と3番は、ほっぺにキスすること!」


オリバーは3番だった。

オリバー「Eita caramba!(おいマジかよ!)」


彼はタツミを見るが、彼女は1番の紙を持っていた。

恐る恐るアレックスに振り返ると、まさかの該当者。

アレックスは二度見してしまうほどの偶然。


オリバー(お前かよー! アレックス!? 嫌なんだけど! 女の子ならともかく、男はムリだって!)


オリバー「な、なぁメリア、命令変えてくれよ……」

そう言っている間に、アレックスは無言でオリバーの頬にキスをした。


さらにノートを掲げ、「僕の国では、久しぶりに会った友達にはキスすることがあるんだ」と説明する。


オリバー(って久しぶりでもないし!)

母さんからのキスならまだしも、男にされるのは初めてで正直キツい!


メリアはニヤニヤと状況を楽しんでいた。

※メリア(ごめんオリバー、あっ……こうなるとは思わなかった)


タツミは不憫なオリバーの背中をそっと撫でていた。


落ち込んでいたオリバーだったが、気を取り直して声を上げた。

「よし、次いこう!」


⸻


一同「王様だ〜れだっ!」

オリバー「来たー! やはり帝王はこの俺だぁーっ!」

メリア「“王様”ね、“帝王”じゃなくて」


オリバー「じゃあ、1番はこのゲームが終わるまで“お嬢様口調”で喋ること!」

1番はアレックスだった。


アレックス(仕方なくありませんわ……お嬢様口調で喋らせていただきますわ)

ノートの文字もなぜか少し丁寧になっていた。


オリバー(またアレックスかよ! タツミのが聞きたかったんだよ!)


こうして、オリバーたちは夜を楽しく過ごしていった。


⸻


翌日 ―――


サボンはある覚悟を胸に、大きな決断を下した。

勇気を振り絞って部屋を出た彼女は、代理王を説得するため城へと向かう。


歩きながら「どう言えば説得できるか……」と深く考え続けていた。


そして玉座の間へと入ると、代理王ともう一人の女性がいた。

その女性は二十代ほどで、美しい顔立ちと白銀の髪を持っていた。


代理王「サボンか、ちょうどいいところだ。君を呼ぼうと思っていたところだよ」


サボン「えっ、私を……ですか?」


代理王「そうだ。たぶん君はベラリザの件で来たのだろう? 彼女とも話していたよ。

    それで……この彼女と一緒に、デハーマ帝国に行ってもらいたい」


サボン「ま、まさか……光の勇者様……ですか?」


代理王「そうだ、本人だよ」


光の勇者「よろしくね、サボンちゃん。君の仲間がピンチらしいからね。

     ……でも、その前に。実力を見せてもらえるかな? 足手まといは、いらないから」

冷たい口調だった。


彼女はマントを脱ぎ捨てた。


代理王「戦うのなら、物は壊さないでくれよ」

椅子に座りながら苦笑する代理王。


光の勇者「さあ、いくわよ!」

剣を抜き、構えを取る。完全に戦闘準備が整っていた。


サボンは本当は戦いたくなかった。

だが仲間を助けたい。そして、今度こそは……。


「覚悟は、できています」

サボンはそう口にした。


「覚悟ね……そんなもの、聞き飽きているよ」

冷たく返す光の勇者。


サボンはマントの効果を発動し、マスクを装着。姿を透明にする。


……だがその瞬間、彼女は気付いた。


(針のケースが、ない!?)


(くそっ、忘れてた……オリバーめ、まだ私の針を持ったままか!)


戦う準備は整っていない。

それでも、サボンは戦わねばならない。

―――不利な試練の幕が、今、上がる。

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