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エスペーロ•ケ•ナンオピオラ 俺はそれでも頑張る   作者: ケロタコス


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13/32

楽しい遊びの後には

前回までのあらすじ


ゴブリンを退治したオリバーたちだったが、アレックスがいなければ命を落としていたかもしれなかった。


その後、彼らは村の宿に戻って休息をとり、部屋で軽い遊びを始めた。


プレイしていたのは「試練か真実」というゲーム。

オリバーはメリアから恥ずかしい質問をされそうになり、試練を選択。

その結果、イタリア人のようなおしゃべりな口調で話すという罰ゲームを受ける羽目に。

一方、タツミはまだ語尾に「にゃん」を付け続けていた。



メリア「そろそろ違うゲームをしよう。なんか飽きてきたわ」

オリバー「わっかる〜。その“王様ゲーム”ってのをやってみたーな!」(イタリア風)

タツミ「じゃあ、わ、私がルール説明するよ……にゃん?」


オリバー(マンマミーヤ……可愛い!)

効果は抜群だった。


王様ゲームを始めることになった一同。

タツミ「その前にアレックス、紙一枚くれる?」

アレックスはノートの紙を一枚破って渡す。


タツミはそれを細くちぎり、4枚に分けて準備を進める。

1枚には黒丸を、残りには数字を書き入れた。


タツミ「よーし、これでいこう!」

自信のないタツミにしては珍しく、堂々としていた。


※タツミ(陽キャたちがベンチューブでやってるの見て、一度やってみたかったんだ……!)



一同「王様だ〜れだっ!」

メリア「やった、私ね! じゃあ……2番と3番は、ほっぺにキスすること!」


オリバーは3番だった。

オリバー「Eita caramba!(おいマジかよ!)」


彼はタツミを見るが、彼女は1番の紙を持っていた。

恐る恐るアレックスに振り返ると、まさかの該当者。

アレックスは二度見してしまうほどの偶然。


オリバー(お前かよー! アレックス!? 嫌なんだけど! 女の子ならともかく、男はムリだって!)


オリバー「な、なぁメリア、命令変えてくれよ……」

そう言っている間に、アレックスは無言でオリバーの頬にキスをした。


さらにノートを掲げ、「僕の国では、久しぶりに会った友達にはキスすることがあるんだ」と説明する。


オリバー(って久しぶりでもないし!)

母さんからのキスならまだしも、男にされるのは初めてで正直キツい!


メリアはニヤニヤと状況を楽しんでいた。

※メリア(ごめんオリバー、あっ……こうなるとは思わなかった)


タツミは不憫なオリバーの背中をそっと撫でていた。


落ち込んでいたオリバーだったが、気を取り直して声を上げた。

「よし、次いこう!」



一同「王様だ〜れだっ!」

オリバー「来たー! やはり帝王はこの俺だぁーっ!」

メリア「“王様”ね、“帝王”じゃなくて」


オリバー「じゃあ、1番はこのゲームが終わるまで“お嬢様口調”で喋ること!」

1番はアレックスだった。


アレックス(仕方なくありませんわ……お嬢様口調で喋らせていただきますわ)

ノートの文字もなぜか少し丁寧になっていた。


オリバー(またアレックスかよ! タツミのが聞きたかったんだよ!)


こうして、オリバーたちは夜を楽しく過ごしていった。



翌日 ―――


サボンはある覚悟を胸に、大きな決断を下した。

勇気を振り絞って部屋を出た彼女は、代理王を説得するため城へと向かう。


歩きながら「どう言えば説得できるか……」と深く考え続けていた。


そして玉座の間へと入ると、代理王ともう一人の女性がいた。

その女性は二十代ほどで、美しい顔立ちと白銀の髪を持っていた。


代理王「サボンか、ちょうどいいところだ。君を呼ぼうと思っていたところだよ」


サボン「えっ、私を……ですか?」


代理王「そうだ。たぶん君はベラリザの件で来たのだろう? 彼女とも話していたよ。

    それで……この彼女と一緒に、デハーマ帝国に行ってもらいたい」


サボン「ま、まさか……光の勇者様……ですか?」


代理王「そうだ、本人だよ」


光の勇者「よろしくね、サボンちゃん。君の仲間がピンチらしいからね。

     ……でも、その前に。実力を見せてもらえるかな? 足手まといは、いらないから」

冷たい口調だった。


彼女はマントを脱ぎ捨てた。


代理王「戦うのなら、物は壊さないでくれよ」

椅子に座りながら苦笑する代理王。


光の勇者「さあ、いくわよ!」

剣を抜き、構えを取る。完全に戦闘準備が整っていた。


サボンは本当は戦いたくなかった。

だが仲間を助けたい。そして、今度こそは……。


「覚悟は、できています」

サボンはそう口にした。


「覚悟ね……そんなもの、聞き飽きているよ」

冷たく返す光の勇者。


サボンはマントの効果を発動し、マスクを装着。姿を透明にする。


……だがその瞬間、彼女は気付いた。


(針のケースが、ない!?)


(くそっ、忘れてた……オリバーめ、まだ私の針を持ったままか!)


戦う準備は整っていない。

それでも、サボンは戦わねばならない。

―――不利な試練の幕が、今、上がる。

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