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第1話 大魔法使い

久しぶりの投稿です。つたない文章ですがよろしければ一読頂ければ幸いです。

貧乏


この比較的繁栄しているアリアス王国ではある貴族を示す言葉になる。アリアス王国成立以来最も貧しい貴族。エイリアス男爵家である。

初代の祖父が手作りで建てた屋敷・・・家・・・小屋と呼称するのが妥当だろう。この2部屋しかない小屋の家族全員の寝室の藁ベットに黒髪の痩せた5歳のアクシスが横たわっていた。顔色は青白く額には汗が浮かんでいた。意識は無い。見守る家族はもう一時で天に召されると覚悟を決め見守っていた。実際、数回呼吸が止まり家族はその都度狼狽えていた。そして、ついに呼吸が止まり命の炎が消えたのである。エイリアス男爵家は3日前アクシスの父、ジョナサンが現在アリアス王国で流行っている病にて亡くなったばかりである。そして、今、同じ病で唯一の男子の跡取りも失ったのである。

「アクシス!アクシス!死なないで!死なないで、あああああああああああ!!!!」

「あなた・・・アクシスを連れて行くのは辞めてください。せめてアクシスは残して・・・・」

母、エリーナは先日亡くなった夫のジョナサンへ静かに涙を流しながら祈っている。姉、エリスはアクシスの胸を拳で激しく叩きながら大暴れで泣き叫んでいた。古びた小屋の壊れた天井から朝日が差し込みこの残された母娘を空しく照らしたのであった。その一筋の朝日はだんだんその光量を増やしていき・・・アクシスの亡骸を照らしていった・・・部屋が眩しい程に明るくなった。アクシスの体が光り輝いている。

「知らない天井だ・・・。」

アクシスは目を覚ました。



井高誠は40歳になる少し頭髪がさみしくなってきた普通の社畜のおっさんである。年齢=彼女いない歴の彼は40歳で童貞なら大魔法使いだなと20連勤で総務部の資料を作成しながら唐突に思い独り言をつぶやいたのである。今は深夜の1時である。総務部のあるその部屋には彼一人しかいない。もちろん、その独り言に返事はないのだが・・・

「そのとおりじゃ。君は大魔法使いになった。」

「へ?」

誠はいよいよ仕事のやりすぎでおかしくなったと思い急いで帰宅したのであった。

築70年木造2階建ての6畳一間のアパートが彼の城である。風呂なんて洒落たものはついていない。その部屋で唯一存在感がある敷きっぱなしの煎餅布団に腰を下ろし24時間開いているスーパーの半額になった弁当を食べた。

「寒いな・・・。」

暖房器具などない。彼は大学卒業後から現在の会社で働いているが就職難で給料が他社より半値だったが無職より良いかと考え就職したのであった。給料は上がるだろうと思っていたが下がる一方であった。彼は貧乏である。貧乏の為に出会いがあるような事はできなかった。ひたすら仕事をしてきたのであった。高校生の頃両親を事故で失い天涯孤独になりその時より生きるために必死で働いてきたのである。しかし、友人、恋人というものは全くできなかったのである。彼はボロアパートの冷たい隙間風で寒いのでなく己の孤独によって寒いのである。

「へっへへ。大魔法使いになったなら温かくなる魔法使えるかな・・・『魔法発動!温かくなれ!』なんーてな。ははは。」


【運命魔法温かくなれが発動されます】


「へ?」

誠の耳に機械じみた女性の声でそう聞こえた。さらにその声は続く。


【運命魔法温かくなれはこの世の理を変化させる魔法の為に準備待機時間が必要です。】


【効果を現実化するために試行しています】


【失敗】


【失敗】


【失敗】


【失敗の為に一度リセットされます。再起動時最適化されます】


【再起動します】


ここで誠の意識はなくなった。


【地球世界では不可能と判断。適切な世界を検索中】


【検索終了。世界アリストラル適合】


【世界アリストラルへ世界を変更】


【井高誠の器を検索中・・・適合】


【井高誠の魂を新たな器へ移動。同時に温かくなれに適合するため体を最適化】


【成功】


【条件クリア。運命魔法温かくなれ発動】





「知らない天井だ・・・。」

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