表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多角形病原菌  作者: 奇蛇乃 北
6/18

夏風邪

『夏風邪』


今 私に纏わりつく足枷が取れたきがする


それはゆったりと しかしそれは一瞬で 


気持ちよさそうに 心穏やかに


私の足枷は取れたのだ




数刻前 私にまとわりつく足枷が取れた


それは夏風が窓から入ってきたときらしい


木々な啼き 風が囁いき


私の足枷は取れたのだ




数か月前 私にまとわりつく足枷が取れた


A4ノート十三冊では書き足りないそれは


めんどくさそうに 溜息でも吐きながら


私の足枷は取れたのだ




数年前か数十年前 または数百年前かもしれない


指一本で愛を誓ったそれは


割れた金魚鉢をボーっと見つめ 零れた水をボーっト見つめ


私の足枷は取れたのだ


 




『繰り返し』




あいつが首を絞めてきた


たまらず私も絞め返す




くっ はっ はっ




息ができない安心感であいつを襲う


たまらずあいつも不安で私を襲う




くっ はっ はっ




あいつは意識が飛ぶ前にキスをしてきた


たまらず私も舌をいれる




っ っ っ




「しょうがない、わたしはもうやめておこう」


「わたしもこれ以上は死んでしまう」




はぁ はぁ はぁ




なんだか見たことのある顔だ


おぉ! まさかだとは思うがお前わたしか?




わたし わたし わたしだ




なんて運命的なんだ


非常に厄介なことになる




へっ へっ へっ




もう一度首を絞めてやる!


なっ!?




たまらず私は首を絞める






『将来の不安なんて』


さながら才能なんてものに頼る気はなかったが


どういう訳か上手くできることが何一つない


この夏の朝は明るい 


一体どれほどの才能が潰されるのか


私はそれに期待している気がしてならない


ああ 自分が嫌になるほどではないが溜息の数は増えた


もしかしたら病気かもしれない


来年には死に至る病かもしれない


しかしそれを許さないだろう 母も父も教師も友人も許さないだろう


なにより私自身が許してくれない




不安な夜が続く夜は嫌いだ


不安な昼が続く昼は嫌いだ


まったく、私はこの世界が嫌いだ


それは時代のせいだろう


まったく、私はなんて時代に生れてきたんだ


退屈な日常が私に微笑みかける


異常で私を待っている


また嫌いなものが増えた





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ