夏風邪
『夏風邪』
今 私に纏わりつく足枷が取れたきがする
それはゆったりと しかしそれは一瞬で
気持ちよさそうに 心穏やかに
私の足枷は取れたのだ
数刻前 私にまとわりつく足枷が取れた
それは夏風が窓から入ってきたときらしい
木々な啼き 風が囁いき
私の足枷は取れたのだ
数か月前 私にまとわりつく足枷が取れた
A4ノート十三冊では書き足りないそれは
めんどくさそうに 溜息でも吐きながら
私の足枷は取れたのだ
数年前か数十年前 または数百年前かもしれない
指一本で愛を誓ったそれは
割れた金魚鉢をボーっと見つめ 零れた水をボーっト見つめ
私の足枷は取れたのだ
『繰り返し』
あいつが首を絞めてきた
たまらず私も絞め返す
くっ はっ はっ
息ができない安心感であいつを襲う
たまらずあいつも不安で私を襲う
くっ はっ はっ
あいつは意識が飛ぶ前にキスをしてきた
たまらず私も舌をいれる
っ っ っ
「しょうがない、わたしはもうやめておこう」
「わたしもこれ以上は死んでしまう」
はぁ はぁ はぁ
なんだか見たことのある顔だ
おぉ! まさかだとは思うがお前わたしか?
わたし わたし わたしだ
なんて運命的なんだ
非常に厄介なことになる
へっ へっ へっ
もう一度首を絞めてやる!
なっ!?
たまらず私は首を絞める
『将来の不安なんて』
さながら才能なんてものに頼る気はなかったが
どういう訳か上手くできることが何一つない
この夏の朝は明るい
一体どれほどの才能が潰されるのか
私はそれに期待している気がしてならない
ああ 自分が嫌になるほどではないが溜息の数は増えた
もしかしたら病気かもしれない
来年には死に至る病かもしれない
しかしそれを許さないだろう 母も父も教師も友人も許さないだろう
なにより私自身が許してくれない
不安な夜が続く夜は嫌いだ
不安な昼が続く昼は嫌いだ
まったく、私はこの世界が嫌いだ
それは時代のせいだろう
まったく、私はなんて時代に生れてきたんだ
退屈な日常が私に微笑みかける
異常で私を待っている
また嫌いなものが増えた