ネオン
『ネオン街』
ネオン
お前は彼女に勝てないだろう
ネオン
それでも素晴らしい愛嬌
ネオン
お前は私を好かないが
ネオン
私はお前を知らないのだ
ネオン
光らないお前など
ネオン
私には見つけられないよ
ネオン
私の手を取って
ネオン
私に光を灯してくれ
『希望』
非科学的なまでの無限に手を添えて
あなたとピクニックに行けるなら
火星から見た月のような
そんな思い出に耽りたい
悠遠の夢で目が覚めると
目の前に階段があった
上っても上っても進まない
足を痛めて成長を感じた
薫製された左手の
爪は紅く塗られている
沈んでしまう鉛の体
いつかは溶けると信じてる
『白いハゲタカ』
ハゲタカが女を喰っている
髪を引っ張り 爪を剥ぎ 腸であやとりをしている
女は願っていた
(私の全てを食べないで)
願いは叶い 女の一部は残された
白い肌と 白い歯と 白い眼球だ
女は悲鳴にも聞こえる喜びを謳った
(やったわ、私は世界を見ている。風を感じる。もしかしたら味だって)
しかしハゲタカは女の肌を切り裂いた
びちびちびちびち
しかしハゲタカは女の歯を溶かした
どろりどろり
女は悲鳴をあげた
(なんて酷い。一体どうしてよ)
ハゲタカは女の肌を被り 女の歯粉を顔につけた
(まさか、そういうこと。私の肌でドレスを、歯で白粉を塗っているのね)
よく見るとハゲタカは泥で汚れていた
女は理解した これから世界が無くなることを
しかしハゲタカは飛び立って行ってしまった
(不思議、でもよかった。私にはまだ目があるんですもの)
ぐちゃり
通りかかったトラックが女の眼球を潰した
ハゲタカは眼球が白ではないことを理解していたが
トラックは理解していなかったのだ
タイヤは真っ赤に染まったそうだ