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転生姫  作者: 有栖川 すず
10/18

温室見学1

 

 お城を案内してもらってから2日後。

 私とジェシカさん、そして護衛の人は温室に来ていた。


 ジェシカさんを私だけに拘束してしまうのは、他のメイドさんたちにも申し訳なくなり、2日時間を開けた。

 ちなみに2日間何をしていたのかと言うと、何もすることがなく部屋で本を読んで過ごしていた。


「ではまずは、食物の温室から行きましょうか」


「はい」


 ジェシカさんに続いて温室の中に入る。

 そう言えばと思い、チラッと後ろを振り返れば、護衛の人が中に入ってくる気配はない。

 どうやら温室の外で待っているつもりみたい……。


「ではまずはこちらから」


 食物の温室はそれぞれの道を挟んで4つのブロックに分かれていて、よく見ていたようた畑より一回りほど小さいものが目に入る。


 まずジェシカさんが足を向けたのは、入口から見て右側にある一番近い畑だった。

 その畑は、緑色の葉っぱが地面から生えているだけで、食物と呼べるようなものは見当たらない。


「ここは土の中に食物が埋められている畑です。ここには、イモ、ニンジン、ダイコンの3種類の野菜が植えられています。詳しくはこちらの看板に書かれているので、読んでみてください」」


 私の疑問に答えるように、ジェシカさんが説明してくれる。

 近くに立てられていた看板を見る。


【イモ、ニンジン、ダイコン】

 料理の使われることが多い。

 非常に栄養価が高い。


 …イモ、ニンジン、ダイコン……。

 聞いたことのある名前に、一瞬戸惑いを覚える。

 実物を見たわけではないが、何となく知っている野菜な気がする……。


「先日種を植えたばかりですので、完全に育つまでにはあと1週間ほど必要かと。今は実物をお見せすることはできませんが、後日またお見せいたします」


 サラッと言ったジェシカさんの言葉に耳を疑った。


 先日種を植えたばかりなのに…あと1週間で完全に育つ?

 そんなことって……。


「そ、そんなに早く育つんですか?」


「はい。この国の食べ物や、これからお見せする植物も、種を植えてから最低でも2週間以内には完全に育ちます」


 当たり前かのように言ったジェシカさんに驚いていれば、あることが頭に浮かんだ。

 そもそもこの3つの野菜って…育つ時期一緒だったっけ?


「…時期とか気候とかは関係ないんですか?」


「…そうですね、ほとんど関係ありません。ごくまれに、寒い場所でしか咲かない花や、温かい場所でないと育たないものもあるらしいですが…」


「そ、そうですか……」


 つまり、夏の時期にしか取れない野菜が冬に取れたり、またその逆もあるわけで……。

 しかも、育つスピードも凄く早いし……。

 名前は同じでも、それ以外は全く違うらしい……。



「では次に行きましょうか」


 次はその隣、入口の左側にある畑だった。

 その畑は、土に支柱らしきものが立てられており、それを取り巻くように野菜がなっている場所だった。


「こちらはキュウリ、マメ、トマトが育てられている場所です」


 ジェシカさんがそれぞれの野菜を手のひらで示しながら教えてくれる。

 …キュウリ、マメ、トマト……。

 またしても聞いたことのある名前…。

 しかもさっきとは違い、この野菜たちはもうすぐ収穫時なのか、それぞれがほぼ完成形になっていた。


 長くて緑色をしているキュウリ。

 キュウリ同様緑色をしているが、キュウリほど大きくはなく、ふっくらと膨らんでいるもの。

 恐らく膨らんでいる中に、マメと呼ばれる粒が入っているんだろう。

 そして、丸い形をしていて、赤いトマト。


 これを見て確信した。

 育つスピードなどは違えど、この世界で流通している野菜は、私がいた日本でも食べられていたものとほとんど一致すると。


 一応のため看板を見れば、


【キュウリ、マメ、トマト】

 料理に使われることが多い。

 キュウリ、トマトには水分量が多いため、脱水症状の人に出すとよい。

 マメは栄養価が高い。


「あの…この、脱水症状の人に出すとよいと言うのは……」


 さっきの看板にも栄養価が高いとか書かれていたけど……。

 キュウリ、トマトが脱水症状の人に効くだなんて聞いたことが無い。


「それは薬草と同じような意味合いです。もちろん薬草よりは効果は劣りますが、十分助けられているんです。これら以外にも、そう言った効果を持った食べ物は多くありますよ」


 そう、なんだ……。

 薬草だけじゃなくて、食べ物にもそんな力があるんだ……。



 3つ目は、キュウリなどが育てられていた畑の後ろ。

 入口から見たら、左後ろにあたる場所。


【レモン、イチゴ、メロン】

 レモンは酸味が強い果実。料理のアクセントとして付け足されることが多い。

 イチゴ、メロンはスイーツとして出されることが多い。


 看板を見れば、果物の名前が書いてありいきなりのことに驚く。


「この温室は、前の畑が野菜を育てており、後ろの畑には果実を育てております」


 ジェシカさんの言葉になるほどと頷く。


 でも日本で食べていたレモンは確か木になっていたような……。

 この世界のレモンは、イチゴやメロンと同じく地面の上に実をつけている。


 酸味が強いという点は同じなのに、栽培方法は違うらしい……。

 難しいと頭を抱えながら、最後の所へ足を進めた。



 最後の畑は、レモンなどの畑の隣。

 入口から見て右後ろに当たる場所。

 その畑は今までとは様子が違い、大きな木が何本も立っていた。


「こちらは、ご覧の通りに木になっている果実を育てている畑になります」


【モモ、ラズベリー、オレンジ】

 モモは甘味があり、紅茶として飲まれることが多い。気分を落ち着かせてくれる効果がある。

 ラズベリーは、甘い香りとは対照的に酸味が強い。食事の飾りとして用いられることもある。

 オレンジは甘味と酸味の両方が味わえる。そのままでも美味しいが、ゼリーなどに加工して食べられることが多い。


 看板を読んだ後に上を見上げれば、ピンク、赤、オレンジ色の実がなっているのが目に入る。


 そう言えば…私が神様とジェシカさんに飲ませて貰った紅茶。

 普通のモモとは少し違うと感じていたけど、気分を落ち着かせてくれる効果があったからか…。

 確かに、両方とも気分が落ち着いたのを思い出した。


「これでこの温室は最後にはなりますが、こちらで育てられている食物はごく一部でございます。もしもこれからお城の外へ行く機会があれば、いろいろと見てくることをお勧めいたします」


「…そうします」


 そんな会話をしながら私とジェシカさんは、食物の温室の外に出た。


 お城の外…か。


 このお城がどこに経っているのかも分からないが、今まで一度もお城の中にいる人以外の声を聞いたことが無い。

 だからこそ、この外がどれだけの人がいて、賑わっているのかすら私には分からない。

 そもそも…私は、お城の外に出ることが出来るんだろうか?

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