3-3. 見つけた居場所
そうして、私の居場所はあの、商店街にある地下のゲームセンターだけになった。最初のゲームでは、彼はいつも私の先生だった。行っても会えないということが嫌で、連絡先を交換した。彼が決してそういうことを自分から言い出さなかったのは、いろいろと警戒していたからだし、警戒されていると思っていたからだったらしい。そんなものが必要だと、私は夢にも思っていなかったけれど。
とはいえ、私がどう思われるのかを、全く気づかなかったわけでもない。例えば初めのうち、ゲームセンターで私が座っていても、誰も私と対戦しようとはしなかった。私が素人というか初心者丸出しだったから哀れまれているのかと思ったけれど、あるとき、筐体に挟まれて通路から見えない側の奥の席に着いてみると、ほどなく見知らぬ(後でそうだと分かった)対戦相手が現れた。特に何事もなく実力通りに私は負けたのだけれど、そこで私は、彼の示した遠慮みたいなものの正体が分かった気がした。
実際、私がそのゲームセンターに通った四年ほどの間、問題と言えるようなことは何一つ起こらなかった。私はただ楽しんでいた。最初の馬鹿みたいな緊張や真剣さは、通ううちに穏やかになっていき、私は存分に楽しめていた。
実のところ何よりも楽しかったのは、彼と話すことだったのかもしれない。会うのはゲームセンターだけで、そこで遊ぶゲームのこと以外は、何も話した記憶がない。しかし、いや、別にこんな否定的な言葉を使う必要もなく、楽しかった。彼に説明されたりアドバイスをされたりする中で、時々、全く聞いたことのない言葉が現れる。そんな専門用語――「フレーム」「詐欺」「埋める」「反確」「確反」「スライド」などなど――について私が聞き返すと、彼はまた鮮やかに、それを私の知っている言葉に置き換えて解きほぐしてくれる。時にはまた別の耳慣れない用語が現れたりもしたけれど、その場合は楽しみが二重になる。
私がそこで学んだのは、どんな世界も奥深く、手に負えない複雑さを持っているけれど、決して理解できなかったり触れたりするのが不可能なわけではなく、そこには見通せる明確な構造が存在するということだった。もちろん大げさだけれど、そういうことの、小さくはあっても一つの実例を、私は目にしていた。一応言っておけば、私はそう理解したから惹かれたというわけではない。私はただ楽しみ、驚いていた。
なぜこういう行動を選択するのか、なぜこうするべきなのか、その何もかもに理由があった。その理屈が一つ分かるだけで、どうしようもないと思っていた相手に勝てたりする。もちろん理屈とは全く別の、反射神経だとかそいう部分も決して無視できはしないけれど、とにかく私は、一つのことを知るたびに、どんどん奥深くに歩き進んでいた。
やがて私の腕前も上達していき、相手にもよるけれど、三割ぐらいは勝てるようになってきた。その間に私は中学校に上がり、部活はそこそこで済ませ、勉強にはまだそれほど苦労せずにいられた。