バスルーム 裸の二日間 2011年イタリア
以前短編として投稿したものを再掲。
R18指定の映画なので注意されたし。
「バスルーム 裸の二日間」2011年スペイン
1987年マドリッドが舞台。高齢の作家が若い美人の女性と喫茶店で待ち合わせる。彼女は作家志望。彼に作品を見せるが辛辣な言葉を返される。
その後、二人はアトリエへ移動。全裸になるように言われるが、彼女はこれを拒否。
「セックスを求めていることを分かっていてついてきたはずだ」
と作家に責められる。結局彼女は全裸になる。その後、バスルームへ。作家も後を追う。交互にシャワーを浴びて、そこで別れるはずが、バスルームの扉が故障。二人は裸で閉じ込められる。
裸で閉じ込められたバスルームでは、体を隠せるのはバスタオル一枚。前面を隠すのがやっと。否応なく全てが曝け出されていく。多くの場面で彼女がバスタオルを使っているのは、彼女の心理障壁の現れか。
傲慢で辛辣、嫌味たらしく欲望に忠実。その作家の顔の下に、孤独と恐怖を抱えていることが暴かれていく。二人の根底に共通するものだ。
バスルームで男女が二人。この対比が素晴らしい。男と女、老いと若さ。映画の中盤、二人はセックスをするが、それは愛というより共感のようだ。その後喧嘩してしまうのは恐怖のベクトルの違いだろうか。作家は終末に恐怖し、彼女は将来に恐怖している。終盤語られる作中映画の結末が映画本編の唐突な終わりと共に語られないのが、余韻として強く残る。再び二人が出会うことがあれば語られるのだろうが、果たしてあるのか。バスルームから開放され現実に戻った二人の行動も対比として描かれる。留まる作家と、颯爽と歩く彼女。この映画は徹頭徹尾対比で描かれていく。
他人と共感はできるが共有はできない。その寂しさをエンディングテーマが軽くしてくれる。