渇いた世界の猟犬
全てが終わった後の世界。あえて表現するならば、これほど相応しい言葉はないだろう。大きな戦争があったのだろうか、人の手に負えないような大災害があったのだろうか。今となっては知る由もない。残されたのは汚染された大地と、風化した文明の痕跡たち。ここは未来の世界なのか、それとも異世界なのか。科学の世界なのか、魔法の世界なのか。何のために呼ばれたのか、無意味に引きずり込まれただけなのか。何一つ分からないまま、俺はこの地獄で飢え死にしようとしている。この世界は渇いている。孤独で、自由で、冷酷で、合理的で。この世界は渇いている。