第7回、初心者のトレーニング
FXにはトレーニングが必要です。
初心者の皆さんは、トレードに臨んで迷ったことはないでしょうか?
FXの業者のトレード口座を作り、お金を振り込んで、いざ取引しようと思ったが、何をどうしたら良いか分からない。
ローソク足やトレンド、テクニカルなどについて細かく教えてくれる本はあるでしょうが、実際にどのようにトレードしていけば良いか大まかな方向性を示してくれる物は見当たりません。野球に例えれば、野球の入門書とルールブックを読んだだけで試合に出場するようなものです。試合で活躍するにはランニングやキャッチボール、バットの素振りなどの長い基礎練習が必要です。
私がビギナーのときは、訳も分からずにテレビの解説やFX関連本の通りにトレードして大きな損を出し続けていました。私の場合にはビギナーズラックはなくて、最初から相場にお金を吸い取られ続けていたのです。
利益を出すため、大きな損をしないために必要な相場の空気や波、相場の環境認識というものを知らなかったので、その勉強料は多額になってしまいました。
これを読んでいるFX初心者の皆さんには、私のような遠回りをしてムダな出費をせずに、近道を通って勉強していただきたいと思います。
では、私が考えた初心者向けのトレーニング方法を紹介します。
エントリーする枚数は1000通貨です。
まずは、ルールを決めます。
練習なので、それは適当で構いません。MACDでも良いしボリンジャーバンドでもスパンモデルでもOKです。テクニカルを学習するのが面倒ならば、自分のカンで取引しても良いでしょう。
通貨は米ドルが良いでしょう。ポンドのように大きく動かないし、大国については情報がたくさん入ってくるので勉強になります。
さて、練習トレードの開始です。
ドルのチャートを見て、上がりそうだったと思ったらロングでエントリーします。
ジッとチャートを観察して、自分が思っていた波と全く別の動きになったら、すぐに損切りします。これは練習なので多少の損失は受け入れなければなりません。その時に含み益が出ていたとしても自分の思惑と違っていたら決済するのが良いです。
そして、自分が予想した方向に動いたら、10pips程度で利益確定します。それは20pipsでも良いし、ずっと上がっていくのを黙って見ていても良いのですが、これは数多くこなすための練習なので細かくトレードします。
このチョコチョコ取引を続けていき、損失が少ない状態で安定するか、多少の利益が経常的に出るようになるまで続けます。途中でルールを変えても構いません。
これだったらシミュレーションでも良いんじゃないの? と思うでしょうが、人間はお金が絡まないと真剣になれないのです。多少でも口座の金額が減ったり増えたりしないと本気で取り組むことができないので練習になりません。
だから、最低取引単位の1000通貨でトレードします。
これはデイトレードです。
たくさんのエントリーをして相場に慣れるという主旨なので、細かくエントリー、決済をして相場観を身に付けて下さい。
しかし、あまりにも短時間で決済すると業者によってはスキャルピングと見なされて勧告を受けるかもしれないので注意して下さい。
この練習で何が得られるのでしょうか?
先物取引というものは欲望と恐怖の綱引きです。この練習の本質的な目的は心の中、その葛藤のエクササイズです。
エントリーして、レートが上がったら「やったー! 含み益が出た」と喜び、下がったら「ああ、含み損が増えていく……」と嘆く。その繰り返しがFXというものです。
皆さんは不思議に思ったことはありませんか?
FXのチャートには上昇と下降の二種類しかない。(まあ、レンジ相場というものもありますが)エントリーして勝つのも負けるのも理論的にいって半々です。5割の確率なので、ずっと続けていけば損も得もなく口座の金額はプラスマイナス・ゼロになるはず。
だがしかし、多くの初心者トレーダーはFXで大金を失って相場から撤退していく。残るのは五パーセントから一〇パーセントと言われています。
これはどうしてなのか?
それは、取引しているときに欲望と恐怖が邪魔をして、理性的に行動できなくなるからです。
もう頭打ちしそうなのに、もっと利益が欲しいからと決済しない。損失が拡大しているのに損をするのが怖くて損切りできない。エントリーしているときは、常に欲望と恐怖が綱引きをしてせめぎ合っています。メンタルをコントロールできないことが大損する理由なのですよ。
この欲望と恐怖の綱引きというものがFXの本質です。
自分の欲望と恐怖というものを間近に感じて、それを受け入れてコントロールしていく。その練習が上記の方法なのです。