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回復術師の戦闘員  作者: 烏天狗
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18話 無理難題

いつも通り無言で食べ続ける老人。特に目立った動きもない。そう。ガクは今一人の老人を監視しているのだ。


「ガク君、さっきからずっとシャーロットのことばかり見てどうしたの?」


「あ…いや、別に……ちょっと話してみたいなって……」


──ヤバい……、粗捜しするつもりが俺からボロが出てどうする!


動揺のあまりまたしても適当に誤魔化す。この際サンドラにバレるのはやむを得ないが、奥でニヤつくサンドラの顔を見ると無性にイライラする。


「ワシと話してもなんも面白くないぞ」


シャーロットは静かに手を合わせ席を立つ。結局何も掴めないままシャーロットとの数少ない接点である朝食が終わった。



──明らかな証拠を見つけるまではどうしようもねぇな……


静かな廊下を進みつつ、一人で頭を悩ませる。そもそもシャーロットが内通者とわからない以上、此方から行動に移すことはできないのだ。


「ガックーン、ちょっと村までの買い出し手伝ってくれませんか?レナ一人ではさすがに多そうなので…」


「悪い、俺忙しいから」


「いつも暇そうにだらだらしてるだけじゃないですか!て言うか、ガックン稽古以外の用事ありませんよね?」


きつい言葉でかなり的確な指摘が入る。

レナの言うとおり、わざわざ荷物持ちをさせられるためにこの城を出るのが面倒だっただけだ。


「ほら、行きますよ!」


強引に手を引っ張られる。ガクには選択権が無いらしく、仕方なく付き合うこととなった。




「なぁ、お前も一つくらい持てよ」


「女の子に荷物持たせるとか最低ですよ!」


あれからかれこれ1時間も荷物持ちをさせられ、かなり限界が近い。そんなガクのことなどお構いなしに、ずんずんと村の奥へと進むレナ。


「おい!これ以上進むと帰りがもっとキツくなるだろ!」


「ちょっと静かにしててくださいよ!……あっ!この服かわいいー!」


この通り買い出しはとっくに終わっているが、レナの買い物の荷物持ちまで付き合わされているのだ。


「ガックンも服とか買ったらどうですか?その変わった服も随分くたびれたみたいだし……レナが選びましょうか?」


「いや、金もねぇし。てか、俺のはいいから買うもの買って早く帰ろうぜ」


ノリの悪いガクにムスッとした態度を見せる。その姿はやはり小学生くらいにしか見えない。


「お前って今いくつ?」


「女性に年齢聞くのは失礼って習わなかったんですか?まぁ、20ですけど」


「えっ……?年上?」


こんな少女が自分より二つも上であることに愕然とする。どっからどう見ても小学生。多く見積もっても中学生程度にしか見えない。


「何ですか?ジロジロ見て。背が低いから年下に見えたとか言ったら蹴り飛ばしますよ」


「いや背って言うか……、まぁそれも無くはないが……」


「ほんと最低です!」


レナの平手が左頬に飛び、乾いた音が鳴る。彼女方を見ると顔を真っ赤に染めた膨れっ面をしている。おそらく何か間違った捉え方をされたのだろう。


「悪い、マジで変な意味じゃなくて……」


「もういいです!帰りますよ!」


レナはぷりぷりとした態度で、足早に来た道を戻る。そんなレナを大荷物を抱えながら急いで追いかける。かなり機嫌を損ねてしまったらしい。


「俺の言い方も悪かった。謝るからそろそろ許してくれても良くねーか?」


「その言い方だとレナが勝手に拗ねてるみたいじゃないですか!」


「そうは言ってないだろ……」


いや、その通りではある。しかし、


──こういう時の対処法マジで知らねーんだよ……


彼女いない歴=年齢のガクにとってはかなりの難題だ。中、高と陰キャラを極めていた自分を後悔する。


──こうなったら片っ端から試すしかねぇ!


「おい、レナ。帰ったら俺の持ち物何でもやるから。それで良いか?」


こんな子供相手のような交換条件を飲むとは思えない。だが、ガクの今持てる考えを全てぶつけていくしかこの殺伐とした空気の抜け道はない。


「仕方ないですね……そこまで言うならくれる物次第では考えてあげても良いですよ」


「え……?……良いのか?」


「貰える物次第です」


まさかの一つ目の捨て案が通るとは思ってもみなかったがこんな簡単に関門を通過できれば後はどうとでもなる。


「やっぱ見た目通りじゃねぇか……」


「なんか言いました」


「なんにもねぇよ」


思わず心の声が漏れる。だが、予想外に現れた問題はほぼほぼ解決し、一安心。そこでガクは改めて自分の現状に気づく。


「マジで帰りまで俺が持つのか?流石にこのペースはきついんだが……」


「早くしないと昼御飯間に合いませんよ!ペースアップ!ペースアップ!」


レナはさらに歩く速度を上げ、後ろのガクをどんどん突き放す。自分の意見は逆効果にはたらいてしまうと知り、段々と小さくなるレナの背中をガクはただ追うことしか出来なかった。






















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