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回復術師の戦闘員  作者: 烏天狗
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17話 内部捜索

マルクスの襲撃から2週間が経過した。あれから特に何も起こっていない。奇妙な夢さえ見ないのだ。


「これは安心すべきであろうか、いや、安心すべきではない」


綺麗に反語を決め、ベッドから状態を起こす。とは言っても、何も起こらないのだからどうすることもできない。


普段通り食事を取り午前中にくつろいだ後、午後からはスパルタ稽古を受ける。そしてたわいもない話で盛り上がって寝床につく。やはり、何不自由ない幸せすぎる生活だ。


「あなたまだそんな事考えてるのね。この前の事件は首謀者はマルクス。ヨルムは加勢しただけ。彼を取り戻しに来たりしないわ」


「分ーってるよ。……ただ内通者の件が解決していない以上安心はできねぇだろ」


そう。あのとき、確実にマルクスもしくはヨルムに繋がっている人物はいた。ガクも大まかな目星はついているが証拠がない以上どうしようもない。


「その様子だとあなたは既に疑っている人物はいるのよね?誰なの?」


「そんなのお前に言ってどうする?もしお前がその内通者で俺がそれを言い当てたら俺を殺すだろ」


正直なところ疑ってはいることは事実だ。だが断定できるほどの根拠はない以上ここでサンドラとぶつかるのはガクにとっても部が悪い。


「……しないわ」


少し考えてからサンドラが答える。


「仮にあたしがそうだとしても今騒ぎを起こせばこの城の全勢力が確実に私を殺しに来る。此方にもリスクが大きい過ぎるわよ」


「なるほど、そうなるとまたあのやり方か……?」


サンドラの言うとおり、今現在この屋敷にはザックだけでなく、あの日からガイルまで住み着いている。その二人を相手には出来ないだろう。サンドラも、そしてもう一人も。


「あなたがあたしを疑ってるのは別に構わないけど他にも候補がいるんじゃないかしら?」


「ああ。……シャーロットさんだ」


やはり、こいつの前では口先だけの嘘はつけない。ここで隠したところでバレるのも時間の問題だろう。


「それは何故?」


「単純な理由だ。昔ヨルムに居たってことと未だに謎が多すぎることだけ。あとはほとんど消去法みたいなもんだ」


「なるほどね」


ここでもう一人の人物を明かすことが吉と出るか凶と出るか。そんなことは今はわからない。


「あたしも確かに彼は少し怪しい気がしてたのよね。マルクスの牢に何度も顔出してるのを見るのよ…」


「俺はお前のことも疑ってんだぜ?そんな事易々聞き入れると思うか?」


「それもそうね……余談だったわ。明日も稽古あるんでしょ?あたしも朝早いからそろそろ寝るわ。おやすみ」


「……おう」


最後の最後でかなり根拠に近づくようなセリフを吐いていなくなる。これは事実なのかシャーロットを犯人に仕立てあげる嘘なのか、ガクの頭を悩ます。


「まずは明日。事実確認だな」


そう呟くと暗くした部屋で掛け布団に潜り込んだ。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



早朝。ガクの張り込みは始まる。すっかり慣れた城の中を忍び足で地下牢へ向かう。

地下牢への扉前についたところで目の前に飾られた西洋風の中へ隠れる。ここまでは順調だ。あとはただただ待つのみ。だが、


──全然来ねーじゃねーか……やっぱただのハッタリか?


ハァと深いため息を溢す。あんな不審なオカマの言葉を真に受けたことが悔やまれる。


──こんなことならもっと寝てられたのに……


「何してるんですか?」


「うおっ……!?」


突然の問いかけに動揺して体勢を崩し、そのまま尻餅をつく。ガチガチの鎧のせいで身動きが上手く取れない。


「だから、何してんですか?頭おかしくなりました?」


倒れたまま起き上がれずにいるガクの視界にピンク髪の少女が現れる。


「なんだレナか、ビックリさせんなよ」


見つかったのがシャーロットではなかったことに一先ず安心。


「それはこっちの台詞です!そんなの着て何やってるんですか?」


「いや……、こういう鎧来てみたかったんだー……ハハッ」


こういう時はサンドラでない限り適当な嘘で誤魔化せる。


その場で立ち上がろうとするがガシャガシャ音を立てるばかりで動けそうもない。そんなガクにレナは蔑むような視線を送る。


「だからってこんな朝早くにする必要ありますか?てゆーか、早く立ってくださいよ!」


プライドの高いガクにとって明らか年下の少女に起き上がらせて貰うのは尺だが、今はこうするしかない。仕方なく差し伸べられた手を掴む。


「もうすぐ朝食なので遅れないでくださいね」


「おう。ありがとな」


「何をしようとしていたか分かりませんが、無理はしないで下さいね」


嘘で誤魔化せていたつもりだったが全て見透かされていたようだ。家族とも知り合いとも長らく会えていないガクにとって、このような優しい一言はかなり嬉しいものだった。

そんなことを考えながらガクもいつもの食堂へと足を運んだ。

















毎日1、2話ずつ投稿していきます。


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