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回復術師の戦闘員  作者: 烏天狗
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14話 衝突と悪癖

「私に……聞きたいこと?」


心当たりを探すように小首を傾げる。その表情を見て冷めかけていた熱が再び上昇。いちいち反応してしまう自分に腹が立つ。


「ああ。お前が王になることを反対されている理由を知りたい」


「それは、私が魔法を扱えないからよ」


サレーネはあっさりとそう答え、その場を去ろうとする。


「本当にそれだけか?……そんなことだけでわざわざ作戦を練ってお前を殺そうとするのかよ!」


「何が言いたいの?」


冷徹な声。さっきまでの表情が一変しキッとガクを睨む。

やはりその話題は触れてはならないのかもしれない。だが、今聞かなければならない。次もいつ襲撃されるかわからない。


「お前が前に言ってた昔の事件が、お前の父親が反感を勝ったんじゃねーのかって聞いてんだよ!」


「お父さんはなにもしていない!勝手なこと言わないで!」


ガクの声をかき消すほどの大声。その瞳には大粒の涙が浮かんでいた。そのままサレーネはその場から走り去った。


──なんでいつもこうなるんだ……


昔からそうだ。自分のことばかり優先して気がついたときにはもう遅い。そうやってダイヤ以外の友達を失ってきたのだ。


──世界が変わっても俺の中身は変わらない。ここに居られるのもそろそろ終わりだな……





「また寝てるんですか?毎日呼びに行くの面倒くさいんですど!」


突然の高周波の怒声で今まで眠っていたことに気づく。


「何してるんですか!?みんな待ってますから!」


「おっ、おう……悪い……」


──みんな……?サレーネを怒らせた俺がそこに入れるのか?


様々な疑問と不安が頭の中で入り交じる。だが、ガクには今やるべきことは一つしかなかった。



「もう食ってたぞ」


「悪い……ちょっと寝過ごして……」


気がつけばザックから話しかけられるようにまでなっていた。あれほどガクを敬遠していた男がこうも変わるとは。改めて、サレーネを守ったことが本当に大事なことなのだと思った。


「明日からはお前もちゃんと稽古するぞ」


「そうだな、よろしく頼むよ」


今のガクにはローガンの話すことなどほとんど耳に入らない。

今はただどうやって謝るか、ただそれだけだ。


「あの、サレーネさっきは…」


「ごちそうさまでした。私は先に戻るわ」


「……」


ガクの話などまるで聞く様子もない。部屋を去っていく後ろ姿を見て落胆。


「何かあったのか?もしかしてジャック様のこと聞いた、とか?」


「まぁ……。そんなとこだ」


ハァ、と深くため息をつくローガン。やはりあの事には触れてはならないようだった。


「ガックンはデリカシーがないですよね。あんなことサレーネ様の口から言えるわけないですよ」


「デリカシーがない……か。じゃあお前の口からなら言えるのか?」


「そういうところです」


レナからの厳しい叱責。冷めた目でガクを見る。


「まぁガックンもしばらくここで暮らすみたいだし、どっちにしろ話すことになると思うのでその時が来たら話します」


当然の話だ。突然現れてからまだ数日。そんな短期間で王国内部の情報なんて話してもらえるはずもない。


「話は少し変わるんだが、いくつか気になっていることがあるんだ」


「答えられる範囲でなら答える、言ってみろ」


次の襲撃を回避するには今回の反省が必要だ。そう。今回の事においていくつか不思議な点がある。


「あのマルクスってやつは俺が体感した感じだとローガンとそこまで大差ない感じがした。それなのにローガンはかなり重症を負った。それはなんか理由があったのか?」


「それは俺の実力不足も否めない点出もあるが、マルクスよりもあの隣にいた鎖野郎が強すぎた」


ここまでは予想通りだった。だが、ガクの知りたいことはここではない。


「そこまで力のあるあいつがなんでサレーネを真っ先に狙わずサンドラを狙ったのか。明らかに効率が悪い」


「そう言われてみればそうね……。でもそれならマルクスも同じよ。戦えないサレーネ様と見ず知らずの逃げる男相手ならあたしに強い方を当てるのが必然だわ」


サンドラの的確な意見に言葉がつまる。が、まだそれだけでは腑に落ちない。


「あの赤髪はかなり強いはずだ。それなのにサンドラにはかすり傷も見当たらなかった。ローガンをあそこまで追い詰めた実力者にもかかわらず」


「少し打ち合ったらすぐどこかへ行ってしまったわ」


「減らせる戦力は減らしておくべきじゃねーか?」


サンドラの実力がどれ程のものか知らないがあのローガンを追い詰めた男が傷もつけずに逃げるとは考えがたい。サンドラを問い詰めるような視線を飛ばすガク。


「あなたはあたしがヨルムのスパイだとでも言いたいの?」


「そうじゃない!ただ、あいつの行動に理解不能な点が多すぎるってことを言いたいんだ」


仮にサンドラがヨルム帝国のスパイだったとしたらとっくに行動に移している筈だ。その線はかなり薄いと考えられる。そう考えると、国が崩壊してからここに来た人物。


「つまりあなたね」


「そう。その条件に当てはまるのは俺。って違うわ!」


サンドラに心情を読まれ、危うく乗せられるところだった。このまま続けるのはガクにとってかなり状況が悪い。


「まだもう一つ不可解な点がある。ザックの外出があいつらにバレていたことだ。ザックの不在はたったの半日程度。偶然とは考えられない」


「確かにそれはおかしいですね。精霊達からも特に偵察者がいるっていう連絡はありませんでしたし」


先程からの対話からガクは一つの仮定を導き出していた。それは不確定な部分も多いが確実に言い切れることもある。


「確実にこの城の中に内通者がいる」













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