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 空は青く雲一つない。フレリアの王都から、レティシアを乗せた二頭引きの馬車が、順調に隣国のグランヴェールへと向かっていた。

 騎乗して馬車を守るのは、同行していたギルバートの近衛騎士達。


 途中休憩を挟みつつ、今が盛りの花々を眺めたり、時折車内の窓から見える景色を楽しんでいた。

 畦道を進んだその先、国境付近の木々が生い茂った森に差し掛かかり、馬車の速度が緩やかになり始めた頃。

 馬の嘶きとともに、強い揺れを感じた次の瞬間、馬車が完全に停止した。


 突然の異変に嫌な予感が胸に広がり、レティシアはエメラルドの瞳に不安の色を滲ませながら、目の前に座る侍女に問う。


「どうかしたのかしら……?」

「確認致しましょう」


 長い黒髪をポニーテールに束ねた、眼鏡の侍女は真摯な表情で頷き、カーテンと窓を少し開けた。


「何かありましたか?」


 外にいる声を掛けられた近衛騎士が、振り返る事なく緊張を孕んだ声音で答える。


「賊に囲まれております……レティシア様は馬車から決して、お出にならないで下さい」


 馬車の外は想定していた最悪の状況に直面していた。緊迫を孕んだ空気に、レティシアと侍女に動揺が走る。


「何ですって!?」

「そ、そんな……」


 青ざめ身体を震わせる主人に、侍女は寄り添うため、向かいの席からレティシアの隣に移動した。次の瞬間。


 ガン!と音と共に、何かが馬車にぶつかる衝撃があった。


「きゃぁ!?」


 レティシアの悲鳴と共に、更にガンガンと鳴り響かせながら馬車が揺さぶられ、侍女は守るようにレティシアを抱きしめる。


 外では金属のぶつかり合う音が鳴り響いていた。

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