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「僕はしばらく外しますが、部屋を出て扉のすぐ前に待機しております。何かあれば遠慮なくおっしゃって下さい」


 セティスの申し出に、シルヴィアとレティシアは感謝を述べた。

「では、失礼致します」と、爽やかに礼をする騎士服姿のセティスの王子様オーラは、伊達眼鏡を掛けていた時の何割も増していた。


 二人きりになり室内に設えてある椅子に、シルヴィアとレティシアは、テーブルを挟んで向かい合って腰かけた。

 少しだけたわいも無い話をしてから、改めてシルヴィアは「レティシア様のお顔を見られて安心致しました」と伝えた。


 するとレティシアは、何かを決心したかのように真摯な眼差しでシルヴィアを見つめる。


「わたくしもです……あの、それでシルヴィア様。わたくし、早くグランヴェールに戻りたいのです」


 懇願するように、エメラルドの瞳を潤ませるレティシアの視線をシルヴィアは、正面から受け止める。


「本当に戻って来て頂けるのですか?」

「はい。わたくしの気持ちは決して揺るぎませんわ、シルヴィア様。本当はグランヴェールを離れたくなどなかったのですが、危険が除かれるまでフレリアに戻るようにと言われて仕方なく……。グランヴェールに戻る準備はとっくに出来ております」


 レティシアが、グランヴェールに戻りたがっていると聞いて、ここまで迎えに来たシルヴィア。しかし、レティシアから本心を聞くまでは、多少の不安は拭えなかった。

 幾度も危険な目に遭わせてしまい、グランヴェールに戻る事や、王太子妃になる未来に不満を持ち始めているかもしれないと。

 だが、たった今告げられたレティシアの言葉にシルヴィアは安堵し、心から感謝の念を送る。


「ありがとうございますレティシア様。これからも必ずお守り致します!」


 ギルバートは子供の頃から腹黒くて、シルヴィアは昔から、からかわれ通しの日々だった。

 それでも『お兄様』を自称して、妹のように大切にしてくれている事は分かっていた。

 そんなギルバートには幸せになって欲しい。


 そもそもレティシア嬢を逃してしまったら、彼女のような純真で心優しい女性は、今後ギルバートの前には現れないのではないか。そうシルヴィアは常々思っている。

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