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 調印式は大聖堂にて行われた。


 当日。シルヴィアの纏う純白のドレスは繊細なレースと刺繍で飾られ、散りばめられた真珠や、薄桃の薔薇が清楚でありつつも程よい華やかさを演出している。


 首元には大きなサファイヤをメインに、ダイヤモンド、ルビーなど色取り取りな首飾りで彩られた。


 透けたヴェールから覗くシルヴィアの美しい銀色の髪が、光に照らされキラキラと輝く。会場中の人々は感嘆の息を溢しながら、妖精の如き花嫁に釘付けとなった。


 夜会や社交の場など、ほぼ顔を出さないシルヴィア。まともに姿を見たことがなかった者は、彼女の容姿に驚きを禁じ得なかった。白磁のシミひとつない肌と、薄桃の頬。白のドレスはシルヴィアにとても似合うが、美しい銀糸の髪をヴェールで隠してしまっていることに、少し残念に思う者もいた。




 順調に式が執り行われ、前ルクセイア公爵夫妻を中心に様々な高位貴族と挨拶をしたりと、普段社交に慣れていないシルヴィアにとってこれも中々に大変だった。


 前ルクセイア公爵夫妻は邸には戻らず、新婚の息子夫婦に悪いからと式が終わるとすぐに領地へ帰ってしまった。


 シルヴィアはアレクセルに手を引かれ、二頭引きの白馬が率いる馬車へと連れられる。その金色の縁取りが施された馬車へと乗り込んだのは、シルヴィアのみだった。


 いよいよ公爵家の屋敷へと向かい、結婚生活が始まるのかと予測した矢先、馬車の外からアレクセルは申し訳なさそうに口を開いた。


「申し訳ございません……実は仕事が入ってしまいまして……」

「あら」

「せめて邸まではお送りしたかったのですが、どうしても自分がいかなくてはいけないようでして……」

「分かりましたわ」


 シルヴィアはにこりと微笑んで見せると、アレクセルも安堵したのか表情を和らげる。


「本当に申し訳ありません。彼女を邸まで丁重にお送りしてくれ」


 御者に命ずると、彼はシルヴィアを乗せた馬車を見送った。

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